地域活性化の武器! 資源を生み出す「組み合わせの発見」とは
地域資源を活用した活性化
地方を活性化させるために、地域の風土や歴史などの「地域資源」の活用が進められています。観光に役立てるほか、一次産業の付加価値を高めて新たな商品を生み出す地域が増えてきました。例えば山形県の場合、もともと栽培が盛んだった野菜や果物の活用が行われています。果物を加工してスイーツを作る、地元野菜を活用した農家レストランを作るなど、付加価値を高めた商品にして販売するのです。このような取り組みは、新たな地場産業の創出や地域経済の活性化に結び付きます。
新たな組み合わせを見つける
地域資源の活用で重要なポイントが、新たな組み合わせの発見です。経済学では、売れるものを作るためには商品の差別化が重要だと考えられています。山形県には「山形芋煮カレーうどん」というご当地料理があります。郷土料理である芋煮にどこにでもあるカレーとうどんを組み合わせ、山形県独自のB級グルメになりました。このように、既存の資源もこれまでにない組み合わせを発見すれば、新たな価値を生み出すことができるのです。
経済の歴史をひもとくと、資源の組み合わせを活用した経済の活性化は、世界中でこれまでも実践されています。ゼロから新たなものを作るだけでなく、もともとあった工場や労働力など既存の資源を新たな組み合わせで活用することでイノベーションが起こりました。
地域活性化の重要性
地域資源を活用した地域活性化は、近年ますます注目を集めています。日本では平成に入ってから地方の人口減少が顕著になりました。加えて、世界との競争が激しくなり地方から企業が撤退する、国・地方自治体の財政悪化による公共事業の減少などの理由で、それまで地域を支えていた産業が次第に衰退してしまいました。そこで2010年代から政府が主導する地方創生の取り組みが始まり、その手段のひとつとして地域資源の活用が推進されています。若者の流出を食い止め地域の人材不足などを解決するためにも、きちんともうかる地場産業づくりが必要なのです。
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先生情報 / 大学情報
山形大学 人文社会科学部 人文社会科学科 地域公共政策コース 教授 下平 裕之 先生
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