「違い」を正しく理解すれば、中国語は難しくない
中国語と日本語は何が違うのか
同じように漢字をベースにしながら、中国語と日本語はまったく違う言語に感じます。しかし言語構造をよく見ると、さほどの違いはありません。大きく違うのは目的語の位置だけです。日本語が「主語」「目的語」「述語」という並びなのに対し、中国語は「主語」「述語」「目的語」と、英語に近いものがあります。このことを頭に入れておくだけでも、だいぶ中国語に親しみやすくなります。
「地」を見れば描写性連用修飾語がわかる
もちろん細かな文法的違いもあります。例えば連用修飾語です。これは「ゆっくり」歩く、「速く」話す、「丸く」描く、といったように主に動作を修飾する言葉です。擬態や擬音語が発達した日本語では数が多く、一方で中国語は数が少ないものの、外国人にとって見分けがつきにくいところがあります。それでも描写感を示す言葉には「地」が付くといった基本法則がありますから、これをマーク代わりとすれば一定の目安になります。描写性連用修飾語を自由に使いこなすのは難しいですが、マスターできれば比喩表現豊かな中国語になります。
失われゆく中国語の多様性
中国語の特徴としてよく言われるのが、発音の多様性です。母音だけでもかなりの種類と数があり、中国人同士でも聞き取りにくいところがあります。さらに方言も北京語と上海語、広東語、マイナーなところでは客家語などと多く、ほかの言語と言えるほどの違いがあります。例えば、基本的な挨拶の「你好(ニーハオ)」は、広東語だと「レイホウ」に聞こえてしまうのです。また使う文字も少し違い、日本語の旧字のように、その土地の人でないと読めない文字もあります。そこで中国政府は標準中国語普及の強化を行いました。おかげで外国人はこれひとつ覚えればよくなったのですが、標準語化は同時に言語の多様性を失うことも意味します。そのため、今、方言や少数民族の言語が消えるのではないかと、中国内部で危惧されているところです。
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神田外語大学 外国語学部 アジア言語学科 中国語専攻 准教授 青野 英美 先生
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