空港での飛行機の離着陸数、どうすればもっと増やせる?
緻密な計画が必要な航空管制
大都市にある空港では、毎日、非常に多くの飛行機が離着陸しています。例えば、東京にある羽田空港では、1時間に約80機、多い時には約90機もの飛行機が離着陸しています。このような空港の運用を安全に実現するには、緻密な計画に基づいた航空管制が不可欠です。
滑走路を増やさずに離着陸数を増やすには?
空港での飛行機の離着陸数を増やすには、滑走路の増設が手っ取り早い手段ですが、その建設には膨大な費用がかかる上、周辺環境に及ぼす影響も慎重に考慮しなければなりません。滑走路増設をしても飛行経路が騒音影響などのために制約されると離着陸数が増えないこともあり得ます。そこで、今ある滑走路や施設だけを利用して、さまざまな面でデータに基づいた工夫を施して、離着陸数を増やす必要があります。
例えば、飛行機の離陸、あるいは着陸を連続させる形にするよりも、離陸と着陸を交互に行う順序にする方が、離着陸数を増やせます。また、大型機が飛行する後方で発生する乱気流は、その後の小型機の離着陸に大きな影響を与えるため間隔を十分空けねばなりません。例えば大型機が連続する形にすれば、乱気流の影響をそこまで大きく受けずに済むため、運航間隔を短縮できます。ほかに、ゲートから滑走路に至る前の誘導路の設計なども、工夫次第で離着陸数の拡大につなげられます。
さまざまな知識を総動員
離着陸に伴う騒音などの環境問題は、空港の運用を考える際に常に考慮しなければなりません。同時に、空港が経済に及ぼす効果もないがしろにはできません。双方がうまく折り合いをつけられるような航空管制を立案して異なる意見をまとめていくためには、工学の知識だけでなく、社会科学や経済学などの知識も総動員する必要があります。
空港の航空管制に限らず、例えば地方都市のまちづくりで、バスの運用や歩行者専用区画などについて検討するといったことも、土木計画学や都市システム工学の領域です。ここには文系と理系の枠を超えて考えられる柔軟な思考力が必要なのです。
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先生情報 / 大学情報
茨城大学 工学部 都市システム工学科 教授 平田 輝満 先生
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