自分たちの力で回復への道を探る「セルフヘルプグループ」

自分たちの力で回復への道を探る「セルフヘルプグループ」

支援を必要とする人たちのために

世の中には、いろいろな理由で、生きづらさを感じている人がいます。
理由は、病気、障がい、家族との死別体験、依存症、セクシャルマイノリティーなど、さまざまです。そのような人たちを支援する専門職者がソーシャルワーカーです。ソーシャルワーカーは、「ソーシャル(社会)と支援を受けたい人をつなぐワーク(作業)をする人」のことです。社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持っている、専門職の人もこの中に含まれます。

自分たちの力で回復へ

生きづらさを感じている人たちの中には、支援を受けるだけではなく、自分たちで回復しようとする、自助グループ(セルフヘルプグループ)を作って、活動をしている人たちがいます。よく知られているのがアルコール依存症の人たちの「断酒会」「AA(アルコホーリクス・アノニマス)」、難病の人たちが作っている患者の会などです。
例えば、アルコール依存症の人たちは、自らの体験を話し、ほかの人の話を聴きます。話し合いというよりも、シンプルにお互いの体験を聴き合うのです。それだけでも、孤独感から救われ、アルコールに頼らずに生きている人の姿を実際に見ることで、希望を得られます。また、難病の患者の会の人たちは最新治療についての情報交換はもちろん、新しい治療薬や治療法の認可を求めるなど、集団ならではの活動を行うことがあります。

グループの存在は心の支え

セルフヘルプグループ活動も、社会福祉の実践の一部です。専門職の人たちが自分たちだけで、援助を行っていくのには、限界があります。セルフヘルプグループは、専門職の人たちにとっては、パートナーとなるでしょう。そのためにも、グループへの関心と理解を持つことが大切です。
また、誰もが、生きづらさを感じる立場になることがあるので、手助けをしてくれるこのようなグループの存在を知っておくことは、心の支えとなるでしょう。社会の中で生きづらさを分かち合うことで、力や勇気を得て、より心豊かに生きていけるにちがいありません。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大阪公立大学 現代システム科学域 教育福祉学類 准教授 松田 博幸 先生

大阪公立大学 現代システム科学域 教育福祉学類 准教授 松田 博幸 先生

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社会福祉学

メッセージ

私は社会福祉の援助を研究しています。その中でも「セルフヘルプグループ」に関心を持っています。私はかつて精神科の病院でソーシャルワーカーをしていました。その際、アルコール依存症の人たちがセルフヘルプグループを作り、活動していることを知り、驚きました。みんな率直に自分の体験を語り、分かち合うことで、お酒に頼らない生活をしようとしていました。このようなグループは、とても大切なものです。社会福祉について、私と一緒に学んでみませんか。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
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大阪公立大学に関心を持ったあなたは

2022年4月、大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、大阪公立大学が誕生しました。大阪市立大学、大阪府立大学は共に約140年の歴史ある大学であり、水都として交通の要衝であった大都市大阪とともに発展してまいりました。この地の利を生かし、理論と実際を有機的に結合することにより、両大学は大都市大阪で生活する人々が必要とする精神文化の発展や産業と経済の振興を担う中心機関としての役割を果たしてきました。本学はさらなる異分野を融合・包摂した新たな学問の創造と多様な世界市民の育成を目指します。