精神に障がいのある人が、自分らしく安心して暮らせる社会をめざして
「精神保健福祉士」の果たす役割とは?
精神障がいに対する偏見や差別は、いまだに少なくありません。精神障がい者が、安心して社会参加できるように生活支援を行うことが、「精神保健福祉士」の大きな役割です。本人はもちろん、その家族に対しても、生活上で困っていることを聴き、家族に寄り添いながら支援を展開していく、国家資格の専門職です。
同じソーシャルワーカーの国家資格である「社会福祉士」は、すべての人が対象ですが、精神保健福祉士は、精神障がい者(統合失調症、うつ病、認知症など)の人やその家族、またメンタルヘルスに課題を抱えている人たちが主な対象者となります。
スクールソーシャルワーカーとしても活躍
いじめや不登校などの悩みを、一人で抱え込んでいる子どもがたくさんいます。小中高校ではこれまでスクールカウンセラーが問題解決に取り組んできましたが、子どもを取り巻く環境も多様化し、学校だけでは対応できなくなっています。貧困、ネグレクトなど、さまざまな問題を抱えた子どもと家族を支えるには、福祉分野の知識が必要です。そこで、行政や医療機関などの専門家と連携して活動している精神保健福祉士がスクールソーシャルワーカーとして学校に入り、子どもたちの健全化を図る取り組みも始まっています。
広がる職域、高まる期待
精神保健福祉士はこれまで主に病院やクリニック、生活支援機関などで仕事をしてきましたが、活躍の場は教育現場や福祉事務所などにも広がっています。また更生保護施設などの司法福祉の領域や、企業で働く人たちのメンタルヘルスといった分野でも活躍しています。しかしその人数は、まだまだ少ないのが現状です。
職域は今後ますます広がることが予想されます。こころの健康に関する研修会やイベントを開催したり、企業や行政に働きかけを行いながら、精神保健福祉士の認知度を高めること、そして人材を確保することが大きな課題となっています。
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先生情報 / 大学情報
東北文化学園大学 現代社会学部 現代社会学科 准教授 大竹 伸治 先生
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