夫婦から見えてくるジェンダーギャップ

子どもが生まれると
日本の夫婦の共働き率は約7割です。男女共に結婚しても働き続ける人がほとんどですが、その中で新たなジェンダーギャップ、つまり男女の格差が注目されています。賃金格差も大きな問題ですが、夫婦単位に絞ると家事分担や出産後の育児における女性の負担が増大しています。また、結婚や出産・育児によって女性の方が働き方やライフスタイルを変えざるを得ないケースも多いため、生活幸福度のアンケートでは、子どもが生まれると女性の方が幸福度は下がるという結果も出ています。
育児休暇取得率は上がっているが
働き方改革や少子化対策が進み、出産後の育児休暇の取得はしやすくなっています。しかし女性の育児休暇取得率が80%を超えるのに対し、男性は30%で、その期間も男性は1~3カ月程度と短いのです。復帰後も女性は時短勤務や部署移動など働き方を変えざるを得ないケースも多く、キャリアの断絶やそれによる賃金格差など、さらなるジェンダーギャップが生まれています。また「育休は女性が取るもの」という企業側の先入観もまだ強く、男性の育児参加意識の高まりに対して職場制度や環境が障壁となっていることが指摘されています。
異なる「家事・育児」の参加意識
その一方で、男女の意識の差や認識の違いも原因の一つとなっていると考えられます。特定の夫婦を追跡調査する「ペアパネル調査」では、夫婦それぞれの変化を観察できます。すると、結婚や出産後の家庭内での役割分担に関する意識と、実際の行動との間のギャップの存在がわかります。男性は「家事育児に積極的に参加している」と感じているけれど、女性は「お手伝い程度」とみなしているといった認識の違いもよく聞かれます。
夫婦単位のペアパネル調査では、数値で表す客観的データだけでは読み取れない、主観的な変化や意識の違いがわかります。これこそが、今後のジェンダーギャップの解消や夫婦間コミュニケーションの改善に生かせる現実的かつ実用的なデータだと言えるでしょう。
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