新たなビジネスや暮らしに役立てられるメタバースと3DCG研究
メタバースがより身近に
デジタルデバイスやネットワーク環境が充実したことで、私たちはリアルな空間と、インターネット上に構築された仮想空間=メタバースの間を行き来しやすくなりました。例えばある公共の建物をつくる際、その建物と、周辺の街並みを3DCGでつくれば、完成後のイメージをよりリアルかつ低コストで地域住民に提示できます。また1つの地域を丸ごとメタバース上に再現すれば、その地域にある観光地の仮想体験や、通販機能を使って特産品の購入もできます。このように、メタバースにおける3DCGの活用は、新たなビジネスチャンスを生むことが期待されています。
防災にも役立てられる
メタバースにおける3DCGの活用は、地域の防災においても役立てられようとしています。現在、自治体が地域の地形データをオープンデータとして無料で配布しており、これを用いればその地域の地形が正確に仮想空間で再現できます。さらにAIによる分析を加えることで、その地域に地震や津波といった大規模な自然災害が発生した際に、人の流れや物の流れがどうなるのかがより詳しくシミュレートでき、また適切な避難経路の策定もできます。そして、被災状況が3DCGによって可視化されることで、どの地域の防災倉庫に、どの程度の備蓄品が必要なのかといった、減災対策にも役立てることができます。
メタバースと3DCGの可能性
3DCGをつくったり、動かしたりする技術は進歩しており、現在では街や地形を自分でつくるゲームに近い感覚で、さまざまなモデルを仮想空間に構築することができるようになっています。また、メタバースでは新しいビジネスの芽が次々に生まれており、さらに防災をはじめとする地域マネジメントにも役立てられることから、経営学の分野においても重要な研究テーマになっています。これからの時代を生きる若い世代の力によって、メタバースと3DCGの可能性が一層拡大すれば、より豊かで、楽しく、安全に暮らせる現実世界がつくられることが期待されます。
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先生情報 / 大学情報
静岡産業大学 経営学部 教授(学部長) 佐野 典秀 先生
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3DCG、人工知能学、VR、意思決定論先生が目指すSDGs
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