「ビッグデータ解析」と「モノのインターネット」が社会を変える
活用が始まったばかりの「ビッグデータ」
インターネットの普及により、自然界や企業活動、放送・通信、社会インフラの状況がデータとしてどんどん蓄積されています。これがいわゆる「ビッグデータ」で、例えば視聴者の傾向を分析して好みにフォーカスした番組を作ることや、機械の外部温度を測ることで内部の部品が壊れる時期を予測するといったことに使われています。しかし、数理的な技術と、何に使えるのかというビジネス的な側面が密接に連携しておらず、まだまだビッグデータの利活用はさまざまな可能性を秘めている段階です。
あらゆるモノがネットワークにつながる
そんな中、生まれたのが「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」という発想で、あらゆるモノをネットワークにつなぐという発想です。例えばショベルカーや飛行機のエンジンなどにもセンサーを付け、これらから送られたデータをもとに、どういう使い方をされているかを分析し、修理の準備をしておくなどの対策をしているのです。一つの製品、一つの会社だけを考えると、決して大きな収益にはつながらないのですが、他社や部品事業、物流事業などとの連携を考えると、業界を変えてしまう潜在力があります。
国際競争を勝ち抜くために
IoTの考え方がさらに進めば多様な要求に即した製品がすぐに作られるようになり、無駄な在庫を抱えるリスクも減ります。さらにそのデータが業種やメーカーの垣根を越えることで、ニーズを先取りしたメーカーや国が拡大・発展する機会を手にすることができます。
日本では自社の系列を失うリスクを恐れ、全体をつなぐという考え方が弱く、こうしたことに積極的に取り組んできませんでした。しかし今やアメリカは「インダストリアル・インターネット」、ドイツは「インダストリー4.0」という形で、産業・製造業の再構築を目的とする戦略を掲げています。今後はいかにして大量、多様なデータを共有して大きなビジネスに発展させられるかが、国家間の競争を勝ち抜くカギになるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
工学院大学 情報学部 システム数理学科 教授 三木 良雄 先生
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