利用したくなる通販サイトとは? 明暗が分かれるデジタル市場
参入は簡単でも、生き残りは難しい
デジタル市場は2000年代から盛んになり、わずか20年ほどで巨大化しました。企業はAIとビッグデータを活用し、第四次産業革命とも呼ばれる変化を市場に引き起こしています。デジタル市場は参入しやすいものの、GAFAと呼ばれる大手4社(Google、Amazon、Facebook、Apple)の存在もあり、生き残ることが難しい分野です。
Amazonが巨大化した背景
デジタル市場で成功する要因は主に2つあります。ひとつは「間接ネットワーク効果」です。インターネット通販を思い浮かべてみましょう。品数や出品者が豊富なAmazonは世界中の顧客に利用されています。出品者も売り上げを伸ばすために顧客の多いサイトに集中します。その結果、顧客も出品者もAmazonを選び、市場を独占する状態になりました。
もうひとつの要因は「データの蓄積」です。多くのデータが集まる好循環を生み出せば、さらに成長していくことができます。このとき活用するものがAIとビッグデータです。Amazonは購入履歴をAIで集積・分析し、顧客に合った商品をおすすめします。すると顧客はまた商品を購入するため、データがさらに蓄積されていくのです。
デジタル市場の新たな課題
デジタル市場ではGAFAによる独占状態が問題視されています。公正な競争が行えず、消費者の選択肢が狭められているからです。また、AIが「カルテル」を行った場合は人間と同様に法律で取り締まることができるのかなど、デジタル市場の法整備も求められています。カルテルとは、本来各企業がそれぞれ決めるべき商品の価格を、企業間で競争することなく共同で高く取り決めてしまうことです。価格決定に用いられているAIは、ビッグデータを分析して特徴抽出を行うことで、「ホテルの価格は土日祝日が高く、平日は安い」などの傾向を学習します。将来、複数のAIが情報を共有して横並びの価格を決定し、カルテルと同じ状態になる可能性はゼロではありません。
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下関市立大学 経済学部 経済学科 教授 佐藤 隆 先生
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