男性は右、女性は左~これが世界で通用する公共トイレ~
情報とは何か、情報デザインとは何か
情報とデータは違います。使い手にとって有用な形にデータを加工し、必要なものだけを取捨選択したのが「情報」です。そしてその情報を、人間が使いやすく、わかりやすくすることが「情報デザイン」です。そこで、情報をデザインする場合は、まず何が使い手にとって有用な情報かを見極め、使いやすいデザインにする必要があります。同時に、使い手が間違わないようなデザインにしなければなりません。情報を正確に認識できるかどうかは人それぞれですが、より多くの人が認識できるようにしなければ役に立たないのです。
日本のトイレマークは世界では通用しない!?
例えば、公共トイレのマークがあります。日本では、男女を区別するために男性は青、女性は赤、また形で言えば男性がスーツ、女性はスカートを着た人をかたどったマークをよく目にします。しかし、これは世界的に見ると一般的ではありません。というのも、色で分けると色覚障がい者が区別できないからです。また、人物の形も文化の違いなどから一般的とは言えません。では何が一般的かというと、左右による区別です。向かって右が男性、左が女性という位置関係です。これは、国際空港に行くと確認することができます。
ユニバーサルデザインの必要性
この場合重要なのは、男女の区別を位置で示していることです。位置は構造ですから、それぞれの国の文化の影響を受けにくく、障がいのある人でも理解しやすいのです。世界がグローバル化していろいろな人が訪れる状況では、公共トイレのように誰もが使うものは特に配慮しなければなりません。これは単に表示だけの問題ではなく、配管などの設備も関係することから、建物の設計デザインの問題でもあります。このような誰もが理解しやすく使いやすいデザインを「ユニバーサルデザイン」と言います。世界がグローバル化する中で一部の国や地域だけで通用するデザインは、徐々に世界標準のものに変更していくことが重要でしょう。
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宮崎公立大学 人文学部 国際文化学科 メディア・コミュニケーション専攻 教授 森部 陽一郎 先生
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