毎日食べる食品も、法律と深く関わっているって知ってた?
食品の偽装・虚偽表示という消費者問題
近年、食品の偽装や虚偽表示の問題が、度々ニュースで取り上げられています。例えば、ある和菓子メーカーは、売れ残りなどで回収した商品を冷凍・解凍して再出荷していました。その際、再包装した日付を製造年月日として表示していたことから、業務停止命令、製造販売禁止命令などの処分が下されました。また、あるホテルは、メニューの名称と異なる食材を使っており、表示を改めるよう指導を受けました。これらの消費者問題には、法律が深く関わっています。
法律で定められた「食品表示」
購入する食品を見ると、製造年月日や消費期限、原材料名、原産地などが表記されています。これらの表示は、私たち消費者が食品の安全性や価格が適正であることなどを判断し、選択できる機会を確保するために法律で企業(食品の製造者)に義務づけられているものです。そのうち、原材料名や原産地といった品質に関わる項目は農林水産省所管の「JAS法(農林物資の規格化等に関する法律)」、安全性については厚生労働省所管の「食品衛生法」によって表示のルールが定められています。問題を起こした企業は、これらの法律にのっとって不正が指摘され、罰則や指導を受けてきたのです。
法律から社会を理解する
2015年4月からは、今まで個別に所管されていたJAS法や食品衛生法、健康増進法が「食品表示法」として一元化され、消費者庁が所管することになりました。食品表示法は、企業の不祥事、食品による健康被害といった社会の情勢や要請に対処すべく、法律が整備されて施行されたのです。消費者対応の窓口も一本化されたことで、消費者問題の基礎となる法律の整備が、ようやく出来上がったと言えます。一方、企業側は消費者と取引する上で、自分たちに義務づけられたルールを正しく理解し、遵守する必要があります。
食品に限らず、私たちの生活や企業の活動は、「法」の支配にのっとって動いています。法律を知ることは、社会への理解をより深めることにもつながるのです。
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先生情報 / 大学情報
京都女子大学 法学部 法学科 教授 桜沢 隆哉 先生
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