エコフィードで付加価値の高い豚肉をつくる

エコフィードで付加価値の高い豚肉をつくる

飼料の課題解決に向けて

エコフィードとは、ecological(環境にやさしい)とeconomical(節約)の両方のエコに、feed(飼料)を併せた造語です。食品を製造する時に出る残渣や、まだ食べられる売れ残りなどの余剰品を、廃棄するのではなく家畜などの動物の飼料に活用する取り組みです。現在、日本では飼料の約75%を輸入品に頼っている一方で、原油価格の高騰や国際情勢の不安定化により世界的に飼料の価格が高騰しています。エコフィードは、環境面と経済面の両方の課題を解決に導く可能性を秘めています。

栄養素を強化する

さらに、鶏や豚は飼料の成分は卵や肉の質に直接反映されるので、エコフィードには特定の栄養を強化できる可能性があります。すでに販売されている鶏卵にも特定の栄養素が高められたものがあり、飼料には海藻や野菜などの粉末を混ぜています。
現在進められているのは、魚の加工場で出た残渣を豚の飼料にする研究です。魚は体に良いオメガ3脂肪酸を含んでおり、魚を食べさせると豚が健康に育ち、豚肉にもこの栄養素が含まれるようになります。しかし、魚は腐りやすく、生のままで運ぶにはコストがかかるのが課題です。そこで、ある特殊な菌を使って発酵させ、腐りにくくさせる加工技術が開発されました。これにより、長持ちするうえに、品質を保持したまま魚臭さは低減されるようになったのです。

研究の手法

研究では最初に飼料の成分を分析します。例えば、魚に含まれている機能性成分のオメガ3脂肪酸の量はガスクロマトグラフィーという分析機器で調べます。さらに最終的な食肉の品質も分析が必要です。また、オメガ3脂肪酸が豚の体の中でどのように代謝されたかは、PCRという装置で脂肪の代謝をつかさどる肝臓中の遺伝子を解析します。また、実際に人が食肉を味わって検査する食味試験を行うことも重要で、他者の影響を受けない状態で見た目や味などを感覚で評価し、統計学的に解析していきます。エコフィードの拡大には、加工技術の開発や成分の分析が重要な鍵なのです。

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先生情報 / 大学情報

茨城大学 農学部 食生命科学科 教授 宮口 右二 先生

茨城大学 農学部 食生命科学科 教授 宮口 右二 先生

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動物生産科学、食品科学、畜産物利用学

先生が目指すSDGs

メッセージ

現在では、たくさんの加工食品が店頭に並び、家を出るとさまざまな料理が食べられます。しかし、誰かが作ってくれる料理だけでなく、自らお肉や野菜などの食材を手に取って調理をしてみてください。食事を作ることは下ごしらえから完成までに考えることがたくさんあります。例えば、調理中の栄養素の化学的変化や、出来た料理の見栄えを計算しておく必要があります。また、料理中は、複数の作業を同時に行わなければいけません。あなたが自分で食事を作ってみれば、食というものに関心が高まると思います。

先生への質問

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茨城大学は、人文社会、教育、理、工、農の5学部からなる中堅的地方総合大学です。校地は水戸・日立・阿見の3地区に分かれており、各キャンパスとも学生を中心とした環境づくりを進め、教育研究施設の充実を図っています。幅広い教養教育と高度の専門教育により専門家として自立できる人材を育成するため、学部・大学院にて多様な学習の場を用意し、各分野で世界を先導する研究活動を推進しています。