「木育」と「ほめること」で育む、子どもの豊かな感性
幼少期にものをつくる楽しさを知る
美術・造形などの技法を用いて何かを表現することや、つくり出す感性は、小さい頃からの積み重ねで育むことができます。そこで、つくる楽しさを通じて子どもたちの感性を育てることが大切となります。しかし、幼稚園や保育園、こども園における保育者は、日々の保育の大変さもあり、造形教育について十分に取り組むことができないということもよく耳にします。そこで、幼児はもちろん、保育者にも造形の楽しさを知ってもらうことが課題となっています。
「木育」で感性を育む
造形教育ではさまざまな教材が使われますが、特に木材に注目し、子どもに木のおもちゃを与えることで、ものを大切にする心や、木の香りや手触り、色味などで五感を刺激し感性を育もうという「木育(もくいく)」の活動が2004年頃から始まり、保育現場にも広がっています。
現在、日本は、世界有数の森林保有国です。時代をさかのぼれば、奈良時代の『日本書記』には、すでに樹木の扱われ方が記されていますし、昔から日本人は木造住宅や木工家具などに囲まれて暮らしてきました。これら「木の文化」を伝えることや森林環境の保全を考えることも、造形教育の場で求められています。
「ほめること」が創作の喜びにつながる
造形作品は、みた人が「色がきれい」「形が面白い」と感じられるならば、「創作」という行為においては、子どもや一般の人が生み出す作品とアーティストの作品には何の違いもありません。また、例えば大学生に児童文学『銀河鉄道の夜』を読み解いてもらい、その世界を平面や立体で表現してもらうと、同じ物語から多様な作品が集まり意見が共有できたりします。
創作は、素材の選択や構成の工夫など、完成に至るまでには苦しみもありますが、作品への感想をもらうなど自分の感じたことが人と共有できる喜びは格別です。それは子どもも同じで、「みて」と作品を持ってきた時にほめると、子どもにとって創作の喜びの原体験となるのです。
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先生情報 / 大学情報
京都女子大学 発達教育学部 教育学科 教授 矢野 真 先生
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