ヤンバルクイナ絶滅回避大作戦!
「ヤンバルクイナ」を知っていますか?
ヤンバルクイナは、世界中で沖縄県北部の「やんばる」地域だけに生息している飛べない鳥です。1981年に日本における100年ぶりの新種として記載され、翌年には国指定の天然記念物となりました。やんばるのイタジーの森(広葉樹林地帯)に生息する全長約30センチ、羽は暗黄褐色、頸部から腹部の羽は黒地に白い横縞が入り、赤く太いくちばしと大きく発達した赤い脚が特徴的な鳥です。森林内を歩き回りながら昆虫、両生類、爬虫(はちゅう)類、植物なども食べる雑食性です。
日本の鳥の中で最も絶滅の危機が迫っている!
発見以来、ヤンバルクイナの個体数は減少の一途をたどり、2005年には700羽程度(発見当時の約4割)まで減少し、2006年には極めて絶滅の可能性の高い種とし絶滅危惧種ⅠA類に指定されました。現在、回復はしていますが、日本で最も絶滅が心配される鳥類の一種です。なぜヤンバルクイナは減少したのでしょうか? その大きな要因は、ネズミやハブの駆除のために導入されたマングースやノネコ(野生化した猫)による捕食や交通事故などです。
保護活動とエコツーリズム
ヤンバルクイナを絶滅の危機から救うために、地域全体でさまざまな保護活動が行われています。「マングースやノネコの捕獲活動」「マングースの北上を食い止めるフェンスの設置」「交通事故対応のための救急救命センターの設立」「生息場所確保のためのヤンバルクイナシェルターの設置」、「交通事故から守るためのクイナフェンスの設置」などが行われました。
ヤンバルクイナの保護活動は地域の自然を守り、地域らしさを後世に残すこと、地域の魅力を維持することにもつながります。このような施設を実際に見てヤンバルクイナ保護の現状について考えるツアーも行われています。その土地の自然や文化に理解を深め・学び、自然・文化の保護・保全と地域振興に寄与する観光形態である「エコツーリズム」の神髄がここにはあります。
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先生情報 / 大学情報
名桜大学 国際学部 国際観光産業学科 教授 新垣 裕治 先生
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