お隣さんは外国人 それが普通になる社会に向けて
「日本人」を意識する日がやってくる?
コンビニエンスストアや工事現場など、外国人を身近に見かける機会が増えています。現在の日本社会には、アジアを中心にさまざまな国籍、民族の人々が住んでおり、多様性の受け入れはすでに進行中の現実となっています。さまざまな国の人々が日本社会で共存するにはどうしたらいいのか、日本人自身が考えなければならない課題です。
世界にはさまざまな多民族・多文化の社会がありますが、その一つがマレーシアです。古くは海上交易の中心として世界中から商人を集め、イギリス植民地支配の時代を経て、独立後はマレー系、中国系、インド系などの諸民族が共存してきました。その歴史から、学べるものは数多くあるはずです。
形を変えていくマレー民族
そもそも、民族とはなんでしょうか。日本では固定的なものととらえられがちですが、人の移動の盛んなマレーシアでは、民族のような人間集団自体が、時代や政治状況によって変化してきました。
マレー半島のもともとの住民であるマレー人という集団も、移民を受け入れることで成り立ってきました。植民地時代になると明らかに異質な中国やインドからの移民が増え、「われわれ」と「他者」の境界が意識されるようになります。マレー民族が形づくられていったのです。このプロセスは、当時発行されたマレー語の新聞や雑誌といった資料から明らかになります。直接現地を訪れて、インターネットにない情報や資料を図書館などで収集するといった手法で研究を進めていくのです。
多様性を受け入れていくプロセス
マレーシアが独立する過程で、マレー系、中国系、インド系の各民族は、一つの国家・社会を作るためにさまざまな交渉を行いました。このプロセスの解明は、現在も進められています。マレーシアにおける民族の形や関係性は常に変化していきますので、研究に終わりはありません。
こうした研究を通じて、多民族共生社会実現までの道筋や、発展の様相が明らかになれば、現在の日本のあり方を考えるうえでも、大きな力になると考えられます。
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先生情報 / 大学情報
名桜大学 国際学部 国際文化学科 教授 坪井 祐司 先生
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