問題だらけの沖縄の環境を調べる方法とは
南西諸島にも環境汚染は少なくない
沖縄、奄美群島などの南西諸島には美しい自然が広がっています。誰もがこの美しい海や森をそのまま残したいと思うでしょう。しかし、この地域でも環境汚染が進んでいます。これには、生活排水など住民の生活から出るものや工業、農業などから排出される有害物質、農薬、濁水など、さまざまな原因があります。小さな島であるため、さまざまな人間活動が狭い場所に凝縮しているという特徴があります。
実体がわかりにくい米軍基地汚染
また、沖縄には多数の米軍基地があり、それによる重大な環境汚染が過去にも、そして現在も発生しています。しかし、その汚染の実態がわかりにくいという現状があります。これは、基地内での汚染調査ができないことと、米軍がどのように有害物質などを管理しているかが公開されていないことに原因があります。そこで、基地内外を移動するマングースやハブといった動物の組織を採取することで、基地のある地域とそれ以外で汚染度を比較するという研究が行われています。
この研究では、沖縄本島のマングースの中でも、基地の集中する中部と、ヤンバルと呼ばれる森林の多い北部では、明らかに中部のマングースのほうが有害物質であるPCBの濃度が高いという結果が出ています。
環境問題を明らかにし解決に向かうには
自分の生活環境や、美しくあり続けてほしいと願う自然環境は、誰かに任せておけば守られるものではなく、多くの人がその実態を理解し、声を上げることによって守られるものです。ただ、南西諸島には、問題を顕在化させるための環境汚染研究をする研究者は多くはありません。また、沖縄には分析機器のある研究施設や人材が少ないという問題もあります。研究者には、既存の問題設定や研究方法の枠にとらわれず、社会に必要とされる真実の解明に向かっていく姿勢が求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
名桜大学 国際学部 国際観光産業学科 教授 田代 豊 先生
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