食べるだけで肥満を防げる「夢の食品」とは?
「ダイエット」という言葉がなくなる?
「食べるのを我慢したり、キツい運動をしなくても、理想体重を維持できたらいいのに」と考えたことはありませんか?
実は、食べるだけで肥満を防ぐことのできる食品の研究が進んでいます。ダイエットや医薬品に頼らず、普段通りの食生活で肥満を防ぐことができれば、高血糖や高血圧、脂質異常症など、肥満が主因である生活習慣病の予防にもつながり、健康寿命を延ばせるはずです。食品の機能性と人間の健康との関連を、科学的に解明する学問が「食品学」です。
「副作用」は、嬉しい現象だった
研究が進められているのは、熱帯アジア原産の「黒ショウガ」です。原産国では800年ほど前から、滋養強壮効果があるので出産後の体力回復によいが、体が熱くなる副作用のある食材として、煎(せん)じて飲んだり、調味料として使われていたことがわかっています。暑い地域なので、体が熱くなるのはありがたくない「副作用」ですが、体温が上がるのは、黒ショウガに含まれる何らかの成分が、体内のエネルギーを消費しながら燃やしていることにほかなりません。実験の結果、エサと同時に黒ショウガの成分を与えたマウスは、ほかのマウスより体重が増えなかったほか、培養細胞中の中性脂肪量が減少することも判明しました。
普通に食べても太らない時代が来る!
肥満を防ぐ食品の研究は世界中で行われていますが、「決定打」と呼べそうなものはわずかです。その中で黒ショウガは、フラボノイド系の物質がエネルギー燃焼に関わっていることが確定的と見られています。さらに、800年も前から食されていた自然素材ですから、病院で処方する抗肥満薬などより低リスクであることは、ほぼ間違いないでしょう。
「どのような仕組みでエネルギーが燃えるのか」「どの程度の量が効果的か」「本当に害はないのか」など、解明しなければならないことはまだまだ残っています。それでも、好きなものを普通に食べても太らない時代は、目の前に迫っているのです。
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先生情報 / 大学情報
南九州大学 健康栄養学部 食品開発科学科 教授 紺谷 靖英 先生
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