生涯にわたる、正しい食行動の習慣化をめざして
正しい食行動を習慣化するには
成人期以降、食の行動変容を促すのは容易なことではありません。健康によくないとわかっていても、スナック菓子を食べ過ぎる、栄養バランスより価格で食品を選ぶなど、習慣化した食生活はなかなか変えられません。そこで、離乳期からたくさんの体に良いものの摂取を体験させ、習慣化させようという取り組みがあります。離乳期には、やわらかくゆでた野菜やおかゆなどをすりつぶし、味つけなしでも、喜んで食べます。好き嫌いせず、なんでも食べる離乳期にたくさんの食材を口にすることで、食べ物本来のおいしさがわかるようになります。
献立に悩んだときに活用するもの
子どもの食育に保護者の関与は不可欠ですが、共働きで、毎日の献立に悩む家庭が増えています。そんな時頼りになるのが保育所や小学校で配布される「給食だより」です。特に高価な食材は使わず、調理も簡単なものがほとんどで、管理栄養士が栄養バランスを考えた献立は、良いお手本です。食育で大切なのは、子どもの話に耳を傾けながら保護者も一緒にご飯を食べることです。手づくりにこだわらず、給食だよりを参考に、できる範囲でつくる、あるいは購入したものでそろえればいいのです。その中で、バランスのよい献立を覚えることもできます。
頑張り過ぎてゼロになるより、無理せず長く続けることが大事です。また、それを子育て世代に広く知らせることも必要です。さらに今後は、離乳期から食育に取り組んだ人たちと、そうではない人たちについて、どのような差異が生じるのかのエビデンスを得ることが課題です。
生涯にわたって影響する食育
食育の一環として、幼いころから料理を手伝わせることが推奨されています。「あなたなら大丈夫」と声がけしながら包丁を持たせたり、大人と同じ食器を使わせたりすることで、子どもは「信頼されている」「認められている」と感じ、それが自信につながります。食に積極的に関わるようになり、正しい知識や技術も身につきます。その習慣が生涯にわたって健全な食行動を可能にすると考えられています。
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先生情報 / 大学情報
仙台白百合女子大学 人間学部 健康栄養学科 教授 神田 あづさ 先生
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