幻の湖や海で発見した酵母でワインができる! スーパー酵母を探せ!
ワインをつくる酵母が海で採れる?
酵母とは、糖を発酵させてアルコールに変える働きをする菌類で、その多くは果実や樹液など糖分の多い場所に生息しています。その酵母がなんと海水中から発見されたのです。
ある製薬会社が医薬品の開発のために、海洋環境から分離・培養に成功した酵母およそ800種類を詳細に調べたところ、13種類の酵母は、「ワイン酵母として使えるかも!」ということが判明し、この酵母と山梨県産甲州種のブドウを組み合わせて醸造試験を行ったところ、世界で初めて海洋酵母ワインの醸造に成功しました。このワインは、バラの花のような芳醇な香りと、酸味(リンゴ酸やコハク酸)のバランスのとれた味わいが特徴で、ヒット商品として発売が続いています。
幻の湖からワイン酵母を発見!
一般には「富士五湖」として知られる富士山麓にある湖ですが、実は降雨量の多いときだけ現れる、幻の湖「赤池」(富士六湖)があります。2011年に出現した「赤池」から採取した水を調べると、ワイン作りに使えそうな発酵性酵母が存在することがわかりました。
実際にワイン作りの酵母として使えるかどうかを、発酵試験や小規模試験醸造などで調べた結果、すでに世の中に出回っている優良ワイン酵母と同じくらい、ワインを作る能力が高く、できたワインは香りや風味もいいことが判明しました。この幻の湖からの酵母を使ったワインも市販されることになりました。
微生物資源「スーパー酵母・乳酸菌」を求めて
こうした酵母などの微生物が眠っているのは、海や湖だけではありません。まだ存在が知られていない、薬や食品に姿を変えて人を助けることのできる微生物(酵母や乳酸菌など)は、世界中に人知れず棲息しているはずです。例えば、外国で採れた乳酸菌で、現地生産のヨーグルトを作る研究も進められています。
発酵微生物工学では、「微生物ハンター」のごとく、人を助ける「スーパー酵母」「スーパー乳酸菌」を探し続けているのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。