食事で病気を予防・改善する! 栄養状態を正確に知るために
食事と病気の深い関係
食事は体をつくること、エネルギーを補給すること以外に、病気を予防・改善するためにも重要です。例えば魚の中に多く含まれるn-3系脂肪酸の摂取量が増えると、心筋梗塞などの虚血性心疾患を抑制できることが明らかになっています。ほかにも食塩を摂りすぎると胃がんのリスクが上がる、飲酒量が増えると肝臓がんや食道がんのリスクが上がるなど、食事が体に与える影響についてさまざまな研究が行われてきました。
病気の予防と改善のための栄養食事指導
食事で病気の発症や悪化を防ごうと、管理栄養士による栄養食事指導が行われています。管理栄養士は患者から食事内容を細かく聞き取り、1日当たりの栄養の摂取量を計算して指導につなげます。しかし「チャーハンに含まれている食塩の量」のように、調理担当者でない人以外は正確に把握できない栄養量もあるのが課題です。また、患者が食事内容の過小申告や過大申告をする場面も珍しくありません。例えば肥満の患者は、無意識のうちに過小申告しやすい傾向が確認されています。
正確な食塩摂取量を知るために
食塩摂取量を正確に知るために、食事を聞き取って計算する食事調査以外に、尿などを使った検査も行われています。尿には、摂取したナトリウム(食塩)の8~9割が含まれているといわれています。1日の食塩量を把握するために、理想としては24時間分すべての尿を調べたいところですが、対象者の負担が大きく、現実的ではありません。そのため、医療現場では患者が訪れたタイミングで採尿し、その1回分の尿を使って24時間分の尿中ナトリウム排泄量を推算する方法が主流です。ただし尿に含まれるナトリウム量は採取タイミングで変化するために、計算結果に誤差が生じている可能性があります。検証のために、1回分の尿から計算したときと、24時間分すべてを測定したときの数値にどのような違いがあるか、調査が進められています。より正確で患者に寄り添えるような栄養食事指導をめざして、さまざまな研究が進められています。
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先生情報 / 大学情報
神戸学院大学 栄養学部 栄養学科 助教 中川 輪央 先生
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