公園緑地がつくる人の流れ~ニーズが高まる再生を考える~
高まる緑地の価値
建築、都市計画、ランドスケープという3つの要素からなるのが、環境デザインという学問分野であり、中でも昨今、注目を浴びているのが「緑地の再生」「公園の再生」という研究テーマです。高齢化の進行、生活習慣病罹患者の増大、地球温暖化をはじめとする環境問題、そして新型コロナウイルス感染拡大など、さまざまな社会問題が表面化している現代において、世代を問わずにリフレッシュや運動に活用できる緑地や公園の価値は、年々高まってきています。
人が集う場所へ変貌した工場跡地
研究を進める上で手がかりになるのが地域の声です。不特定多数の人が利用する公園ですが、地域の人や緑化などの活動に取り組んでいる人にインタビューし、それらの情報を統合することで、どこにどんな公園が必要か、実現するためにはどんな準備や手続きが必要かを具体化することが可能となります。また、緑地をつくることは人の流れ、さらには経済活動にも大きく影響します。東京都の「恵比寿ガーデンプレイス」や愛知県の「ノリタケの森」などはその代表例でもあり、工場跡地に緑地を組み込むことで人が集う場所に変貌を遂げました。ほかにもビルの屋上に庭園をつくる商業施設と緑地のハイブリッド型も増えてきており、そういったニーズはますます高まりをみせています。
協同、共生を実現し「未来をつくる」
世界中で研究されているテーマですが、地域を問わず目的は共通している半面、アウトプットの差異も興味深い点です。そこには文化の違い、あるいは法制度の違いなどが関わっていますが、それぞれの長所をうまく取り入れながら解決していこうという協同精神も特徴的です。
構想を練って調査を進め、公園が完成した後にデータ収集をする、数十年はかかるスパンの長い研究です。一方でSDGsにも掲げられている「パートナーシップ」、また「自然との共生」にも強く結びつく分野であり、未来をつくるというスケール感の大きさもこの研究ならではの魅力となっています。
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先生情報 / 大学情報
和歌山大学 システム工学部 システム工学科 建築・ランドスケープメジャー 教授 宮川 智子 先生
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