流行のアニメや映画が生まれた社会背景を分析する!

流行のアニメや映画が生まれた社会背景を分析する!

1995年は日本にとってどんな年だったのか?

1995-96年のテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は、社会現象と呼べるほどのヒットを記録しました。作品には、主人公である14歳の少年少女たちが自分自身や世界について悩む姿が多く描かれています。主人公がネガティブで常に不安を持っているアニメが、なぜここまでヒットしたのでしょうか?
作品が放送された95年は阪神・淡路大震災や、一連のオウム真理教事件が発生した年でもあります。当時の日本社会には「世紀末に向かってどうなるのか?」という漠然とした不安が蔓延(まんえん)していました。この、社会が抱えていた不安を『エヴァンゲリオン』という作品がすくい取り、ほかにはないリアリティを生み出したことがヒットの要因と考えられています。

時代や社会背景とリンクするアニメ

時代が流れ、21世紀になると、『らき☆すた』や『けいおん!』などの、高校が舞台で友だち同士のたわいない会話がメインとなる作品がヒットします。これらは日常系と呼ばれる作品ですが、なぜ95年の『エヴァンゲリオン』から大きく変わったのでしょうか。それは、21世紀になると多少景気も回復して時代の雰囲気も明るくなり、携帯電話やスマートフォンが普及して、友だちと気軽なコミュニケーションができるようになったからです。このように、流行するアニメは、誕生した時代背景や社会背景を常に背負っているのです。

『シン・ゴジラ』と同人文化の関係

映画『シン・ゴジラ』の大きな特徴は、登場人物の細かい設定が一切ない点です。日本には、好きなアニメや映画のキャラクターを使って自由に作品を作るという、同人誌、二次創作の文化があります。『シン・ゴジラ』のキャラクターは細かい設定がないからこそ、ファンが自由に設定を考えて、多くの二次創作作品が生まれ、それがヒットにつながったと考えられています。アニメや映画に限らず、さまざまな映像文化を研究対象として、時代や文化、社会との関わりの中で読み解いていくと新しい発見があるでしょう。

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跡見学園女子大学 文学部 現代文化表現学科 准教授 渡邉 大輔 先生

跡見学園女子大学 文学部 現代文化表現学科 准教授 渡邉 大輔 先生

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映像学、メディア学

メッセージ

今や、ネット通販でたいていの本が買える時代ですが、ぜひ自分の足を使って本屋さんに行きましょう。ネット通販ではユーザーの購入履歴を分析して、お勧めの本を紹介してくれますが、その代わり未知の本に出会う機会は狭められてしまいます。本屋さんに行ってうろうろしていると、これまで自分の関心がなかった作品にも多く出会えるでしょう。
ネット通販の環境は快適ですが、そこに満足せずに、ぜひ歩いて街に出かけて、たくさんの本や音楽、映画に触れましょう。大切なのは、まだ知らないよい意味でのノイズに出会うことです。

先生への質問

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跡見学園女子大学に関心を持ったあなたは

跡見学園女子大学では、1875(明治8)年の「跡見学校」開校以来、社会に柔軟に対応できる自立した女性を育成しています。この伝統を背景に、学生一人ひとりが4年間を通して、自分らしい生き方を見つけ、社会に出てからも自分の人生をデザインするための「ライフデザイン教育」を推進しています。その拠点になるのが2つのキャンパス。1・2年次は緑豊かな新座キャンパスでじっくり学び、3年次からは都心の文京キャンパスで学修。社会と関わりを持ちながら成長していくことができます。