ワイヤレス給電がもたらす「利便性」と、未来への「可能性」
コンセントにつなぐコードがなくなる?
テレビの裏側やデスクトップパソコンの周辺に絡まっているホコリまみれのコードが、なんとかならないものかと感じている人も多いでしょう。デバイスごとに充電用ケーブルやACアダプタが必要なので仕方ありませんが、ケーブルでつながなくてもエネルギーを離れた場所に送ることができれば、ケーブルがホコリにまみれる心配もなくなります。
ケーブルを使わずにエネルギーを送ることを「ワイヤレス給電(充電)」といいます。いちいちケーブルを探して、つないで、差し込む、という手間が要らず、実用化が進めばますます便利になります。
スマートフォンを置くだけで充電できる
ワイヤレス充電は、電動歯ブラシや充電台に置くだけで充電できるスマートフォンなどで実用化もされています。ACアダプタの中には交流電圧を調整するトランスという部品が入っていて、コイルとコイルで電気をやり取りしています。原理的には、そのコイルを充電台とレシーバーにそれぞれ組み込み、レシーバーをスマートフォン本体に取りつければいいのです。
ワイヤレス充電の国際標準規格を「Qi(チー)」といいますが、国内では2011年からQi規格に対応した端末が登場し、自宅のみならず外出先でも使えるよう飲食店やコンビニエンスストアなどへの充電台の設置も進んでいます。同じようにプラグインハイブリッドカーや電気自動車でも、決められた場所に駐車するだけで充電できるシステムの開発が進んでいます。
次世代技術として注目のワイヤレスエネルギー伝送
ワイヤレスでエネルギーを伝送する技術は、がん細胞を直接攻撃するという局所温熱療法や人工臓器への電力供給などといった生体応用も期待されています。人から自動車に至るまで、さまざまな用途で応用可能なワイヤレス給電は、次世代技術として注目を集めています。
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東北工業大学 工学部 電気電子工学科 准教授 田倉 哲也 先生
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