社会学から見る、「少子化」と「恋愛・結婚」
恋愛・結婚から遠ざかる未婚者たち
社会問題になっている「少子化」は、未婚化・晩婚化、結婚している夫婦から生まれる子どもの数の減少という2つの原因から起こっています。その背景には、人々の心理、社会の経済状況や政策などさまざまな要素がかかわっています。内閣府による「結婚・家族形成に関する意識調査」(2014年12月~2015年1月実施)では、恋人がいない未婚者に「今、恋人が欲しいですか?」と尋ねたところ、「いいえ」という答えが約4割で、その理由は「恋愛が面倒」が約5割でした。未婚者全体では、約3割が「無理して(結婚を)しなくても良い・結婚しなくて良い」と答えています。これらの結果から、恋愛に対する「草食化」や、結婚を先延ばしにしている傾向がみえてきます。
子どもを産むことに踏み切れない子育て世代
経済面では、若者層における非正規雇用者の増加が考えられます。子育ての不安要素について、未婚・既婚の6割以上が「経済的にやっていけるか」を挙げています。昔に比べて子どもの数が少なくなっても、親の大変さは変わりません。特に専業主婦は、閉鎖的な空間で赤ちゃんと長時間向き合う「密室育児」によってストレスを感じる割合が高いというデータも発表されています。「子育ては大変」という心理も、子どもを産むことに踏み切れない要因と考えられます。
生活者の変化に追いついていない日本社会の構造
日本は、生き方の自由度が高まり、選択肢も多様化しています。みずから人生設計をすることが求められる一方、それに対応する社会構造は旧体制のままです。妻も働こうとしても、子どもを保育所に預けるのもままなりません。夫の労働時間は長く、なかなかイクメンにはなれません。自治体では少子化対策として、地域の特性を生かした婚活に取り組んでいるところもあります。現場でのヒアリングや生活者の実態データなどを通して、社会により良い方向を示すのも社会学の役割なのです。
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先生情報 / 大学情報
桃山学院大学 社会学部 社会学科 准教授 村上 あかね 先生
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