ヒット商品はどのようにして生み出されるのか?
消費者の行動からニーズを読み取る
消費者の求めているものやサービスを調査し、商品開発、価格や販売方法などを決定するのが「マーケティング」です。そのアプローチの1つに「消費者行動論」があります。これは消費者が何を必要としているかを、その行動や深層心理に注目して探り当てる分野です。
例えば、小学生にヒットしている「瞬足」というランニングシューズは、小学校のグラウンドを走る時、カーブを曲がりやすいように靴底が加工されています。これは開発担当者が小学校に行き、体育の時間に小学生がカーブを曲がる時、体のバランスがうまくとれていないことや、靴箱に入っているシューズの底の磨り減り方などを観察したことによって生まれた商品です。
商品化のプロセス
消費者の行動を観察するといっても、ただ漠然と見るのではなく、心理学的な視点から、その表情やしぐさ、発声、視線などにも注目して観察します。商品化するためには、観察結果から傾向を読み取り、解釈したり、意味づけしたりという分析を行います。そして、商品のアイデアを出すのです。
さらにはビジネスとして成立するかの検討も必要です。例えば、いくら優れたアイデアでも、原材料費や開発費がかかりすぎて、価格が跳ね上がってしまったら買ってもらえません。本当にその商品を売り出すのかどうかは、さらに商品のサンプルなどを作って、検討を重ね、必要な修正を加えていきます。
マーケティングリサーチとその活用法
開発中の商品への一般ユーザーの反応を見るために、実際の購買層に対するグループインタビューやアンケート調査を行うこともあります。これを「マーケティングリサーチ」と言います。インタビューではユーザーの感想などの具体的な評価・意見を直接得ることができます。アンケート調査では、販売した場合に本当に売れるのか統計的に有意な数字が得られるかなども確認します。ヒット商品はこうしたさまざまなマーケティングの手法を駆使して開発されて生み出されるのです。
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先生情報 / 大学情報
明星大学 経営学部 経営学科 教授 大森 寛文 先生
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