中小企業のCSR活動にメリットはあるの?
増えるCSR活動に積極的な企業
企業の目的は利益の追求です。しかし、社会の中で成長し続けるためには、企業はその利益に見合った責任を担う必要があります。「CSR(企業の社会的責任)」という考え方が浸透した今、意識的に活動する企業が増えています。
社会的責任の対象は、株主や取引先、顧客、従業員、地域社会など、企業との間に利害関係が生じる、ステークホルダーと呼ばれる存在です。収益を上げて株主に還元したり、従業員の給料を上げたりするのはもちろん、環境への配慮や雇用創出、品質向上など、その内容は多岐にわたります。
中小企業のCSR活動はボランティア?
大企業のCSR活動は自らの収益に直結するようになってきています。社会的責任を果たしている企業は、その点をアピールすることで、消費者に商品を購入してもらったり、優秀な従業員を獲得したりできるからです。投資家も、CSRに熱心な企業に対して投資する傾向にあり、社会全体がその活動に注目しています。
一方、中小企業は、活動範囲が限定的で、アピールするための資金も限られることから、CSR活動を行っても広く世間の目に触れることはあまりありません。収益につながらない地域貢献ボランティアと考えている経営者も少なくないのです。
CSRは企業の役割
しかし、中小企業による地域密着型のCSR活動にも、メリットがないわけではありません。地域企業同士のつながりや信頼関係といったソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が構築され、ネットワークを通じたスムーズなビジネス機会も増えて、結果的に利益を生み出すこともわかってきました。一方で、そのネットワークがしがらみとなり、不利益を被る場合もありますので、取り組み方次第ということになります。
CSRはコストがかかるから活動しないという中小企業経営者もいますが、企業は地域社会があってこそ成り立つものです。企業倫理が問われる時代になり、経営の規模にかかわらず、社会の中のプレーヤーとしてCSRに取り組むことは、企業の重要な役割となってきています。
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麗澤大学 経営学部 経営学科 准教授 横田 理宇 先生
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