講義No.11023 経営学・商学

中小企業のCSR活動にメリットはあるの?

中小企業のCSR活動にメリットはあるの?

増えるCSR活動に積極的な企業

企業の目的は利益の追求です。しかし、社会の中で成長し続けるためには、企業はその利益に見合った責任を担う必要があります。「CSR(企業の社会的責任)」という考え方が浸透した今、意識的に活動する企業が増えています。
社会的責任の対象は、株主や取引先、顧客、従業員、地域社会など、企業との間に利害関係が生じる、ステークホルダーと呼ばれる存在です。収益を上げて株主に還元したり、従業員の給料を上げたりするのはもちろん、環境への配慮や雇用創出、品質向上など、その内容は多岐にわたります。

中小企業のCSR活動はボランティア?

大企業のCSR活動は自らの収益に直結するようになってきています。社会的責任を果たしている企業は、その点をアピールすることで、消費者に商品を購入してもらったり、優秀な従業員を獲得したりできるからです。投資家も、CSRに熱心な企業に対して投資する傾向にあり、社会全体がその活動に注目しています。
一方、中小企業は、活動範囲が限定的で、アピールするための資金も限られることから、CSR活動を行っても広く世間の目に触れることはあまりありません。収益につながらない地域貢献ボランティアと考えている経営者も少なくないのです。

CSRは企業の役割

しかし、中小企業による地域密着型のCSR活動にも、メリットがないわけではありません。地域企業同士のつながりや信頼関係といったソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が構築され、ネットワークを通じたスムーズなビジネス機会も増えて、結果的に利益を生み出すこともわかってきました。一方で、そのネットワークがしがらみとなり、不利益を被る場合もありますので、取り組み方次第ということになります。
CSRはコストがかかるから活動しないという中小企業経営者もいますが、企業は地域社会があってこそ成り立つものです。企業倫理が問われる時代になり、経営の規模にかかわらず、社会の中のプレーヤーとしてCSRに取り組むことは、企業の重要な役割となってきています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

麗澤大学 経営学部 経営学科 准教授 横田 理宇 先生

麗澤大学 経営学部 経営学科 准教授 横田 理宇 先生

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経営学、企業倫理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は中学受験で進学校に入りましたが、入学後は高校3年の夏まで勉強をさぼってしまいました。しかし、大学受験が目の前に迫ったときには、合格という目標のために必死で取り組みました。継続的に頑張ることはできませんでしたが、短期間でも全力で目標に向き合ったという記憶は、いざという時の力になると思います。
人は、いったんしゃがまないとジャンプできないように、遊んだりリラックスしたりすることも、力を発揮するためには必要です。息抜きとのバランスをうまく取りながら、勉強でも部活でも、何かを全力で頑張ってください。

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「小規模にこだわる。国際性にこだわる。」
THE日本大学ランキング2023※の国際性分野で7年連続千葉県1位を獲得するなど国際性に富んだ環境です。既存の国際学部、外国語学部、経済学部に加え、2024年4月に経営学部と工学部の2学部を新設し、計5学部の総合大学を目指す大学です。小規模だからこそできる「アクティブラーニング」に注力し、学生主体を全学でサポートしながら、「品格のあるグローバルリーダー」を目指します。※英高等教育専門週刊誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)」より