ソーシャルワーカーの視点から、誰もが生きやすい地域づくり
クラスに1人が「ヤングケアラー」
「ヤングケアラー」とは、家族に疾患がある、きょうだいがいることで、家事や家族の世話、感情のサポートなどを日常的に行う子どものことです。
家の手伝いは、家族を助けるチカラを身に付けます。ですが、その手伝いをやめると生活が回らない場合、ヤングケアラーかもしれません。当事者はそれが日常なので、自分で気づかない、相談できない、将来の進学を諦めてしまう、といった課題があります。
気づき、支え合う地域づくり
だからこそ、ヤングケアラーは周りの人が気づくことが大切です。困っている子どもをそのままにさせないような地域づくりができれば、手を差し伸べることができるでしょう。
ある都市で、地域住民を対象としたワークショップが開催されました。すると、「何をしたらいいかわらかない」と言っていた人たちから、「小学生が食品の買い物袋を一人で抱えていたら声をかける」「たくさん作った料理をおすそ分けする」「子どもに挨拶する」など、自分にできることの案がたくさん出てきました。このように、まずはヤングケアラーについて知ってもらうことから、サポートし合える地域づくりが始まります。
ヤングケアラーは、勉強や遊ぶ時間もなく、孤独やストレスなど、健康に影響を与える場合もあります。そうした子どもをキャッチするためにも、学校の教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとの連携も大切です。また、困りごとを学校の友だちに話すこともあるため、児童生徒に周知することも必要です。
ソーシャルワーカーの視点が大切に
このように、困っている人に対して支援を行うのが、ソーシャルワーカーの役割です。当事者本人はもちろん、その人が置かれている環境を整えることも含まれます。
ヤングケアラーは保護者や家族が悪いわけではありません。社会から孤立していることも多いのです。
子どもを中心に据えた地域づくりは、家族もサポートし合えます。ソーシャルワーカーの視点による地域づくりが、誰もが生きやすい社会につながるのです。
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長野大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授 片山 優美子 先生
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