あなたの消費行動が、環境問題を左右する!
環境への影響の「見える化」
私たちは日常生活を送る中で、環境に対してさまざまな負荷を与えています。しかし、環境への影響は、目に見える形ではなかなかわかりません。だからこそ、人間の活動が環境へ与える影響の可視化、いわゆる「見える化」が必要となります。
家庭から出た廃棄物が、どのように回収されてリサイクルされるのか、また、水がどのように浄化されて家庭に届くのかなど、物や物事の流れを「見える化」することで、普段見えないところに思いをはせ、自分に関係のあることとして受け入れやすくなります。また、きちんと分別して回収しないとリサイクルに労力とコストがかかると知ることで、環境への負荷は住民にもはね返ってくると自覚することができます。
求められる「グリーン購入」を意識した消費行動
消費者として、企業の取り組みを見つめる目も重要です。製造過程において環境負荷の少ない製品を買おうという「グリーン購入」の意識が浸透してきています。そのためには、消費者に商品の情報などの判断材料が提供されなければなりません。日本では「エコマーク」などが知られていますが、イギリスのスーパーなどでは、「カーボンフットプリント」といって、製造から販売までの消費者に届く過程で二酸化炭素がどれだけ排出されたかを、商品に表示する取り組みが進められています。
さまざまな「見える化」の工夫
同様の概念として、「バーチャルウォーター」(仮想水)という考え方があります。例えば食品として牛肉を輸入したとき、その牛を育てるまでにどの程度の農作物が必要で、その農作物を収穫するのにどれだけの水を使用したかということなどから、全体の工程で使われた水の量を推定するものです。
これらも、商品や物質の流れを「見える化」する取り組みであり、消費者に環境負荷をわかりやすく伝える工夫のひとつと言えます。こうした取り組みなどを通じて、企業や行政、そして個人のレベルで環境問題に対する意識を啓発していくことが求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 都市政策科学科 教授 奥 真美 先生
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