海外からの投資を呼び込むと、日本はどうなる?

海外からの投資を呼び込むと、日本はどうなる?

国内アニメ産業の現状

海外でも評価が高い日本のアニメーションは、テレビ局にとって大きな収益源です。一方でその下請けであるアニメーション制作会社の経営状況は良くありません。過当競争で収益が下がり、クオリティを支えるアニメーターはこれまでずっと低賃金、長時間労働にあえいできました。こうした状況の打開策になり得るのが、海外のアニメーション制作会社による投資です。例えば日本よりも大きな市場と資本をもつ中国の制作会社が日本に会社をつくり、日本のアニメーターを雇用すれば、自社作品の質を高めて、また労働条件が改善されることで優秀な人材が集まり、働き続けることが可能になります。

海外直接投資

企業が生産・販売能力を増やすために会社や事業所を設立して直接経営に着手することを「直接投資」、これを海外で行うことを「海外直接投資」といいます。日本の企業はこれまでさまざまな国に出向いて「海外直接投資」を行ってきました。しかし逆に海外の企業が、日本に会社や事業所を設立して経営に乗り出す対内的な海外直接投資は極端に少ないのです。この割合は米国や英国、あるいは中国、韓国、タイといった国に比べても突出した低さです。現状では「日本企業の最大の資産は海外にある」ことになり、国内産業の空洞化や雇用減少といったリスクを招きます。

優れた企業を呼び込む

対内的な海外直接投資は、近年徐々に増加しつつあります。例えば北海道のニセコには、欧米の高級ホテル、あるいはアジア各国企業の資本が入り、外国人観光客向けの高級リゾート地が形成されています。現状では、海外企業やそこで働く外国人従業員の間だけでお金が循環し、また地価が高騰して地元住民が困っているという問題があります。しかし税制度をはじめとする調整を重ねることで、地域や日本の経済を活性化させる可能性も大いに期待できます。他国には優れた企業やサービスが数多く存在します。日本の経済を元気にするには、それらをうまく呼び込み、ヒントや利益を得ることも重要なのです。

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下関市立大学 経済学部 国際商学科 教授 猿渡 剛 先生

下関市立大学 経済学部 国際商学科 教授 猿渡 剛 先生

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経済政策論、地域経済統合論

先生が目指すSDGs

メッセージ

若い頃は自分を他人と比較して、「自分は今どれぐらいのランクにいるのか」といった発想をもってしまうことがあります。しかしそれは良い発想とはいえません。他人と比べるよりも、過去の自分と今の自分を比較して、自己ベストの更新をめざし続けることの方がより重要です。たとえその結果が他人より劣っていても気にする必要はありません。点数や資格といった指標ではなく、自分で目標、課題を設定して、その達成に向けて頑張れる人こそが、社会で求められる人材なのです。

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