歴史から見えてくる日本の国際関係
今の国際関係は「戦間期」に似ている
日本は現在、成長著しいアジアの国々との間で、これからの新しい関係をどのように築いていくかを問われています。このような現在の国際関係と多くの共通点を見いだせるのが、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に挟まれた「戦間期」と呼ばれる時代です。戦間期は、帝国主義に代わる新しい国際関係を作ろうとしてさまざまな模索がなされた時代でした。そこで、戦間期に日本が、アジアに対してどのように向き合ったのかという歴史をたどることで、現在の国際関係について考え、さらにこれからの日本外交の方向性を探るためのヒントを得ることができます。
日中関係をどのように築いていくかを探る
とりわけ、戦間期と現在で共通して日本が直面している課題が、中国との関係です。戦間期の中国は、現在とは比べものにならない弱い立場でしたが、巨大な国土と人口から国際社会の注目を集め、その急速な台頭に対して日本が対応を迫られた点で、現在と重なるところがあります。さらに、中国でナショナリズムが高まる一方、それへの反発が日本で広がるという構図は、戦間期と現在で驚くほどよく似ています。それゆえに、日本がこれから中国との間でどのように新しい関係を築いていくかを探る上で、戦間期の国際関係を検討することは一つの有力なアプローチになります。
民間の関わりも含めて国際関係をとらえる
また、日本とアジアの関係について考えるにあたっては、政府間の関係に加えて、民間の関わりにも目を向けることが重要です。日本の民間では戦前、アジアとの連帯を唱える主張が盛んで、実際にアジア各地の民族独立運動を支援した人たちも多くいました。このように日本とアジアの間には、今ではほとんど忘れ去られた深い歴史的関わりがあり、そうしたつながりに目を向ければ、現在の日本とアジアの関係にもまた違った側面が見えてきます。そして、過去の日本人のアジアに対する向き合い方を振り返ることは、これからの私たちとアジアの関わりについて考える上でも必要不可欠な作業でしょう。
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先生情報 / 大学情報
椙山女学園大学 現代マネジメント学部 現代マネジメント学科 准教授 西田 敏宏 先生
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国際関係論、日本外交史先生への質問
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