国際関係を、より小さなレベルで考えてみると
沖縄米軍基地建設とジュゴン
沖縄本島には、米軍基地が集中しています。このように集中しているにもかかわらず、1990年代後半には辺野古地区での新軍事基地建設が計画され、2015年、新基地の建設が始まりました。残念ながら、基地建設は海上にまで及び、絶滅危惧種の海洋哺乳類である沖縄ジュゴンにとって大切な海に悪影響を及ぼす可能性があります。新基地建設に反対するグループは、米国の法的制度を利用して、新基地建設の阻止や延期を試みています。2003年に始まった米国の法的裁判は、今のところ新基地建設に大きな影響を与えることはできていません。
日本における普天間基地の役割とは
この事件をきっかけに、普天間基地に反対する声はますます高まっています。一方で、中国、北朝鮮など、近隣諸国との関係を考えると、日本には米軍基地が必要だとする意見もあります。沖縄を拠点とする理由としては、台湾や朝鮮半島に近く、有事の際にすぐに対応できること、同じく両地域に近いフィリピンやベトナムより生活水準が高いことが挙げられています。どちらかの意見だけを正しいとすることは難しく、日米関係を左右しかねないとても繊細な問題です。また、日米関係が揺らげば、その隙に他国が何らかの行動に出る可能性もあります。
学問としての国際関係学の立場
国際関係学では、中立な立場でこの問題を分析し、安全上の観点から、メリットとデメリットのバランスを検討しています。国と国との関係を、基地と町など、より小さなレベルで見ながら問題の根本を探ります。時にはフィールドスタディを通じて、現地で生の声を聞き、人々の価値観や考え方を分析するといった取り組みも行われます。撤退か現状維持かといった二元論にとどまらず、日本の安全と沖縄市民の安全を同時に守るにはどうしたらいいのか、さらなる研究が必要とされています。
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