体育が好きな子どもを増やす秘策
体つくり運動とは
体育の授業でおなじみの「体つくり運動」は、小学校1年生から高等学校までの必須領域となっています。1998年にそれまでの「体操」の内容が見直され、「体つくり運動」が誕生しました。現代の子どもたちは、習い事や塾が忙しかったり、ゲームなどの娯楽で時間を費やしたりと、運動をする機会がどんどん減っています。また、運動に積極的な子どもと、運動をしない子どもの二極化も進んでいます。そこで重要になるのが、体育の授業の時間、そして体つくり運動なのです。
教育現場の実態は
体つくり運動には、すべての運動の基礎となる「体の動かし方」を、楽しく身に付けるというひとつの目的があります。初めは追いかけっこのような遊びの要素を入れたり、ペアを組んで相手と対話しながら体を伸ばしたりするなどして、楽しみながら体の動かし方を学んでいくのです。ところが、実際に体つくり運動を教える現場の先生からは、「体つくり運動が、運動能力の向上や健康増進のために大切なのはわかるが、どのように指導したらいいかわからない」という声が聞かれます。
楽しく取り組んでもらうために
体つくり運動について、教育現場での対応を難しくしている要因のひとつに「評価」が挙げられます。例えば、中学校や高等学校の体育の授業では、球技や陸上競技などの他の領域が技能を評価するのに対して、体つくり運動においては「この動きができるようになったらOK」というように技能を評価することはありません。また、体つくり運動は、記録を競い合うものでもありません。そのため先生によっては普段の体育の準備運動を体つくり運動として消化しているケースも見られます。
体つくり運動はほかの領域に比べるとまだ新しい領域ということもあり、あらゆる現場で試行錯誤が続いています。子どもたちが楽しく取り組めて、かつ効果も認められる体つくり運動の事例を多く集めて分析し、教育現場にフィードバックしていく必要があります。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
駿河台大学 スポーツ科学部 スポーツ科学科 講師 鈴木 慶子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
体育学、体育科教育学、身体教育学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?