効果的な英語の教授法と学習法
AI時代に英語学習は不要?
ChatGPTなどの生成AIや翻訳ツールが急速な発展を見せる中、外国語でのコミュニケーションはすべて機械に任せればよく、英語学習はもはや不要だ、という意見があります。しかし、言語はツールです。機械を介した会話よりも、人と人とが直接言葉を交わすほうがコミュニケーションの質が高まります。機械による翻訳がさらに進化したとしても、この先もまだ、英語学習は必要だと考えられます。
日本にいながら英語力を高めるために
日常生活の中で英語に触れることが少ない人は、英語力を向上させる上で、学習時間の確保が鍵であることがわかっています。乳幼児期の頃から学習を開始する必要はありません。何歳から学び始めたとしても、ネイティブスピーカーが小学校に入学するまでに触れると言われている2万時間をめざして、なるべく多くの時間を英語学習に充てることが重要です。また、英語には、あらゆる場面で使われる基本の3000語があります。それらをマスターすることで、英語力は大きく向上します。
鍵は的確な訂正フィードバック
学校教育においても、生徒の英語力を効果的に引き上げるためのさまざまな教授法が研究されています。生徒が発音、語彙(ごい)、文法を間違った際に行う「訂正フィードバック」もその1つで、特に英会話の授業では大きく2種類の方法があります。1つ目が、英語を学び始めた生徒に行うと効果的な「教師が正解を示す」フィードバックです。例えば、「I went.」を「I goed.」と表現した生徒に対して「Not goed, Went.」と指摘します。2つ目が、基礎力のある生徒に対して行う、自己訂正を促すフィードバックです。例えば、前述の誤用例であれば「Goed?」と問いかけることで、生徒が正解を自ら導き出すことにより、記憶の定着が期待されます。生徒の習熟度によって訂正フィードバックの方法を変えて、誤った言葉や文法を繰り返し練習できるような仕掛けを作ることで、英語力を効率的に高めることができるのです。
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先生情報 / 大学情報
群馬県立女子大学 国際コミュニケーション学部 グローバル・コミュニケーション課程 教授 神谷 信廣 先生
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