充電しなくても電気自動車が走る、波動のパワーの秘密!
スマホでSNSが楽しめるのも「波動」のおかげ
私たちの周りには、さまざまな音や光、電波、放射線などがあふれていますが、それらはすべて波のような動きをする「波動」です。もちろん海の波も「波動」の一つです。
これまでに波動を活用した、生活を大きく変える技術革新が2回ありました。一つは、戦前・戦後から普及したラジオやテレビの「放送」です。もう一つは、2000年頃から発展した携帯電話やWi-Fiなどの「通信」です。そして、現在は波動で自動車を動かす研究が進んでいます。
道路から電気をもらって自動車が走る!
波動でクルマを動かすとはどういうことでしょうか? それは鉄板を埋めた道路に周波数の高い電流を流し、道路と接するタイヤを通じてエネルギーを受けたクルマが走行する仕組みです。パンタグラフからエネルギーをもらって走る電車と原理は似ています。この給電システムなら、現在の電気自動車が抱える「長時間の充電が必要」「走る距離が限られる」「バッテリーを積んでいるので車体が重く、高額」などの課題を解決できるのです。
本来タイヤのゴムは電気を通さない絶縁体ですが、周波数の高い電流は絶縁体をつき抜ける特性があるので、タイヤを通しても電気エネルギーを伝えられるのです。通常、家庭に送られる電流の周波数は50~60ヘルツですが、この場合100万倍のメガヘルツの電流を用います。
ワイヤレス給電で、世の中がますます便利に
システムを実現するには、道路に鉄板を埋めて電化道路に変えなければなりません。そこでまずは一般道路に先行して、高速道路を整備する案が考えられます。高速道路で給電すれば、高速道路を下りた一般道路では充電せずに走行ができるでしょう。当面は工場構内や倉庫などの限定したエリアで実用化すれば、産業の省エネ化に貢献できます。このように波動を利用して、ワイヤレスで給電するシステムは、電気自動車の普及や環境問題の解決に役立つと期待されています。
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先生情報 / 大学情報
豊橋技術科学大学 工学部 電気・電子情報工学系 教授 大平 孝 先生
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