観光地「京都」はどうやってできたか? ~まちづくりと観光の関係~
京都の観光地としてのイメージ
京都には年間6000万人もの観光客が訪れます。重要文化財や世界遺産が多い京都は、歴史的で外国人観光客がたくさんいるイメージがあるでしょう。しかし実際には、京都を訪れる外国人観光客の数は、大阪よりもずっと少ないのです。京都は、観光以外の産業のほうが発展しているのです。では、観光地「京都」のイメージは、どのようなまちづくりによってできあがったのでしょうか?
人々の力で再生した京都の街
現在は観光客で賑わう京都も、衰退していた時期があります。明治初期、天皇が東京に移り住み、産業が東京に集中するようになると、数年で人口が幕末の半分にまで落ち込みました。そこで京都では街を盛り上げる、新しい取り組みが次々と行われました。水力発電や路面電車、小学校など、いずれも日本で初めて京都市で導入されました。驚くべきことに、それらの多くは住民たちでお金を出しあって行われたものでした。どうにかして京都の街を再生したいという住民たちの思いが、新たな街の魅力を生み出したのです。観光には街の持つ魅力だけでなく、その土地の住民のまちづくりへの取り組みが大きく関係しているのです。
良い観光地をつくるには?
観光は必ずしも地域に良いことをもたらすとは限りません。例えば、一番観光客の多い紅葉シーズンには、通常は車で30分で行ける場所まで、6時間かかることもあります。京都という街の容量では、現在の観光客の人数を受け入れきれなくなりつつあります。そのために、京都に住む人々の生活が不便になってしまうという問題があるのです。
そこでヒントとなるのがほかの地域の事例です。地域の環境を生かして魅力的な観光資源を生み出している北海道の富良野や、地域の再建に取り組んでいる東日本大震災の被災地などを見ていくと、地域とそこに住む人々のより良い在り方について考えることができます。持続可能な街や人を豊かにできるまちづくりを探究するという面が「観光学」にはあるのです。
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先生情報 / 大学情報
同志社女子大学 現代社会学部 社会システム学科 教授 天野 太郎 先生
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