出産をサポートし、家族の幸せな出発を支える看護師の役割
出産をめぐる状況の変化
看護師の活躍する場は多岐にわたりますが、唯一、命の誕生に関わるのが産科の看護師です。出産をめぐる状況は、時代とともに変化しています。少子化にともなう核家族の増加、女性の社会進出にともなう高齢妊娠・出産の増加、ハイリスク妊婦や新生児の増加、不妊や帝王切開の増加などにより、妊娠・出産・育児が、以前より困難になってきているのが現状です。
また、人工授精、代理母、出生前診断など、医療の進歩にともなって、新たな生命倫理の問題も出てきています。
命の誕生、家族の出発に携わる
そんな時代の変化の中でも、産科の看護師には変わらない役割があります。それは、赤ちゃんの誕生に際して、家族の幸せな出発をサポートすることです。出産という家族にとってかけがえのない場面でつまずくと、産後うつや育児放棄などにもつながりかねません。それほど大切な仕事です。それぞれの家族にとって何が一番いいのかを考え、そこに寄り添ってケアを行います。2つの命を預かる責任はとても重いものですが、赤ちゃんが生まれた時の感動は、何物にも代えがたい大きな喜びです。
相手が求めていることに「気づく力」を育てる
看護師には専門知識と技術が必要なのは言うまでもありませんが、それと同じくらいに大切なのがコミュニケーション力です。看護師は、相手の状況を考えた上でアプローチする仕事です。お母さんの話し方や赤ちゃんとの接し方など、目の前の母子を見て気づいたことから想像を膨らませて考えることで、本当にその家族が求めていることを理解し、それに応じたケアを提供できるのです。
現在、医療と地域との連携が広がってきています。共に働く人も、医師や薬剤師だけでなく、行政、保健師、保育士、児童福祉士、栄養士など多岐にわたり、さまざまな人と連携を取りながら仕事を進めていく必要があります。今後、看護師にとって、コミュニケーション力と観察力は、ますます大切になっていくでしょう。
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先生情報 / 大学情報
同志社女子大学 看護学部 看護学科 教授 和泉 美枝 先生
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