講義No.09890 国際関係学

人と人とがつながる、ボランティアと国際協力とは

人と人とがつながる、ボランティアと国際協力とは

困っている人に、自分ができることを行う

1995年の阪神・淡路大震災の時、日本全国から被災地に支援する人々が入り、活動を行いました。世界からも多くの支援が寄せられ、「ボランティア」が日本に根付くきっかけになりました。当時は自分にできることを考えて行う、ある意味自由な活動でした。しかし現在は、ボランティアに関するさまざまな情報があるものの、「ボランティアとはこういうものだ」「資格や技術がないと、ボランティアができないのではないか」と構えて考える人が増えているようです。本来ボランティアとは自発的なものです。心を動かされたら、想像力を働かせて実際に現地へ行くということです。

ボランティアとは、人と人とのつながり

ボランティアに行くと「来てくれるだけでありがたい」と、待っている人が必ずいます。どれほどAI(人工知能)の技術が進んでも、最後は「人を救うには人しかいない」のです。AIの研究者がなぜ開発にいそしんでいるか、それはより良い社会の実現のためです。しかしその主役は人です。AIも活躍してくれるでしょうが、いくらAIがボランティア活動に介入しても、そこには人間同士のつながりは発生しません。ボランティアで一番大切なことは、人と人とのつながりなのです。

世界と自分とのつながりをつくる

世界に目を向けた国際協力や国際貢献など、大きな話は実感しにくいものですが、日常生活でもできることがあります。生活者や消費者の立場から、世界各地で起こっている問題を考えることです。「自分が将来やりたいと思っていることは誰かを助けることになるか、社会に貢献するか、地球のどこにつながっているか」などに関心を持つことで、人の思考や行動が変わります。
「私には関係ない」と考えるかもしれませんが、実は身近なところで密接につながっているものです。知識があればそれがわかりますし、正しい判断や決断も可能です。地球社会の問題を意識して考えることが、世界をより良い方向へ導くことにつながるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

甲南女子大学 国際学部 多文化コミュニケーション学科 准教授 高橋 真央 先生

甲南女子大学 国際学部 多文化コミュニケーション学科 准教授 高橋 真央 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

国際学

メッセージ

学生の間に、積極的にさまざまな体験をしましょう。海外留学もいいですし、一生懸命勉強すること、さまざまな人と出会うのもいいことです。それらの体験を通じて、あなたを取り巻いている人や場所、また社会の課題について知り、さらに「自分に何ができるだろうか」と考えることが大切です。
例えばスマートフォンの蓄電池の材料となる鉱石をめぐって、産出国であるアフリカのコンゴは内戦状態となり、特に女性はひどい暴力の犠牲になっています。この1つの問題から世界をどう見るか、考える力を養いましょう。

先生への質問

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本学園は、2020年に創立100周年を迎え、長い歴史と伝統を受け継ぎながら、建学の精神「まことの人間をつくる」に基づき、誠実で品位のある女性の育成に努めてまいりました。管理栄養・看護・理学療法・言語・文化・子ども・心理などの専門領域の学習フィールドを備え、6学部12学科と幅広い分野において、社会で発揮できる能力や専門知識が身につく豊かな学びの環境を整えています。神戸の街と空、海を望むキャンパスには、あなたを大きく成長させる学びや出会いがあふれています。