足の指を制する者は、スポーツを制す? 進む「盲点」の研究

足の指は歩行機能向上の救世主
高齢化が急速に進む日本において、健康寿命を延ばすことは個人の幸せ、ひいては社会の幸せにつながります。自立した生活を送る上で大切なことが、歩行機能の維持です。従来、スクワットなどによる足腰の筋力維持に注目が集まっていましたが、ほかにも重要な役割を果たしている部位があります。それは「足趾(そくし)」、つまり足の指です。
スポーツのパフォーマンス向上のカギ
最近の研究では足の指のストレッチやトレーニングによってさまざまな効果が期待できることが証明されました。スポーツの場面では、ウォーミングアップに足の指の運動とストレッチに加え足ツボプレートを活用した足の裏へのアプローチを行ったときとそうでないときの比較をした際、明らかに前者の方がパフォーマンスの向上が認められました。地面に力を加えられる唯一の部位が足の指であり、推進力を生み、方向転換や切り替えを可能とします。
また高齢者を対象にした調査で、足の指と足の裏の運動とストレッチは、歩行機能を即時的に改善させる効果があり、外出前に足の指と足の裏を少し動かすだけで、スムーズな歩行が可能であることが実証されました。
可能性に満ちた分野
このように、運動において足の指が重要な役割を果たすということはわかってきましたが、未解明な範囲も大きいのもこの分野です。例えば、足の指は脳から最も遠い場所にある部位であり、足の指がどのように地面の状況を感知して、どう神経が反応して、脳から下される指令を動きとして発現させているのか、といったことです。そうしたメカニズムの解明が進めば、足の指の重要性がより広く認知され、足の指や足の裏を活用したエクササイズが当たり前になるかもしれません。これまで軽視されてきた、いわば盲点だけに、大きな可能性に満ちた分野でもあるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
