2つ目半額? 知らないと損をする医療制度の話
医療の価格はどのように決まるのか
医療の価格というのは、どうやって決まるのでしょう? 例えばパソコンの値段は、同じ製品でも買う店によってかなり違います。しかし医療の価格は診療報酬という形で一律に決められているので、病院によって異なることはありません。それが基本です。
しかし、診療報酬制度はとても複雑です。あなたは、入院する病院によって入院費が違うことを知っていますか。大きい病院は小さい病院に比べて1日7000円も高い場合もあるのです。規模の大きな病院は、医療機器や設備が充実していて、医師や看護師の数も多いのですが、入院費が高くなっているのです。病院によってこれほど入院費に差があることは、あまり知られていません。また、1つの病院で、内科と外科のように複数の診療科を同じ日に受診した場合は、2つ目の診療科の初診料・再診料が半額になります。
制度を知って申請することが重要
同様の例はほかにもいろいろあります。同じ薬でも、処方せんを持っていく薬局によって支払う額が違ってきます。薬の値段は同じですが、薬局の規模によって薬事報酬が異なるからです。こちらは、大きな薬局のほうが若干安くなります。病院の前にある調剤薬局よりは、全国チェーンを展開している規模の大きな店の方が安いのです。
また、あなたが怪我や病気で月に8万円以上の医療費がかかったとしましょう。この場合、「高額医療費」として8万円を超えた分のお金が戻ってきます。しかし、これには申請が必要です。高額医療費制度を知らなければ、本来戻ってくるべきお金がもらえないのです。
「医療経済学」で、よりよい制度を提言する
こうした知識を、必要な人たちへ広く知らせるということが、医療経済学の役割の1つです。実は医療のプロでも知らない制度というのが、かなりあるのです。本来は戻ってくるべきお金が、制度を知らないために受け取れない人たちがいることは大きな問題です。そういった制度上の欠点を洗い出して、改善について提言するのも医療経済学という学問領域の役割なのです。
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東北福祉大学 総合福祉学部 福祉行政学科 准教授 佐藤 英仁 先生
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