子どもを支える~ソーシャルワーカーに求められる役割の拡大~
見えないSOSをどう見つけるか
児童虐待は、しばしば「ひどい親」のすることととらえられます。しかし、実際には、保護者に病気や障害がある場合、あるいは貧困等により保護者が夜中まで働くしかなく、結果として子どもに適切に関われないなど、多くが家庭や保護者の置かれる状況と関係しています。また社会から孤立した家庭の問題は誰からも気づかれないまま深刻化しがちです。困りごとを抱えていても、自分からSOSを出せる人ばかりではありません。そこで、学校や地域など子どもを見守る目と関わる人達の意識が重要になっています。関わる人達の気づきとつながりから、困りごとが見えやすくなります。
つながる、つなぐソーシャルワーカー
ソーシャルワーカーは、困りごとを抱えた人や家族と関わり、どのような支援が必要かを考え、実践していきます。関わり方次第で徐々に「助けて」と言える関係が築かれていきます。しかし時に支援は、一方的な関わりになりがちです。安心したつながりのために大切なのは、支援を必要とする人の話しをていねいに聴きながら状況を整理し、思いに添った支援をともに考えることです。そして必要に応じた幅広い支援を提供するため、医療、保健、教育、地域住民など関係者の連携が重要になっています。ソーシャルワーカーにはこうした支援者をつなぐ役割も重視されています。そしてこうしたつながりから地域や社会の変化も期待されます。
広がるソーシャルワーカーの活躍の場
ソーシャルワーカーの職場は行政、福祉施設、病院など多数在りますが、児童虐待対応でも、児童相談所、市町村、児童施設の職員など多くのソーシャルワーカーが関わります。近年は学校でも教員だけでは関わることが難しい子ども達の問題に、ソーシャルワーカーがともに考えることで支援の広がりが生まれています。このようにソーシャルワーカーによる支援は、多様な現場で求められ、広がっています。ソーシャルワーカーは、個々の問題解決だけでなく、地域や社会の変革を視野に入れた実践を行う福祉専門職です。
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先生情報 / 大学情報
龍谷大学 社会学部 総合社会学科 現代福祉領域 ※2025年4月新設 教授 山田 容 先生
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