人の心を理解して、対人援助を考える「臨床心理学」
心の問題に、専門知識で対処する
誰もが日々の生活の中で、悩みや苦しみを抱え、それを自分自身の努力や工夫、時には周囲の人たちの励ましや助言を受けることで、乗り越えながら生きています。ただ、問題があまりにも大きいものだった場合、努力や励ましだけでは解決できなくなることも少なくありません。そんな時、その人の状態を検査や心理テストを通じて把握し、問題解決のための対処法を検討するのが「臨床心理学」です。
「心理学」は、さまざまな学問の集大成
「心理学」は、人の考えていることを推理したり、当てたりする学問だと思っている人が多いようです。確かに、心理テストなどを通じて相談者の心理状態を査定する方法なども学びますが、基本は「心の動きと行動とを科学的に分析」することです。哲学や行動科学、精神医学、統計学などのさまざまなジャンルの研究を融合させた学問だと言えます。そして、心理学の知識を応用し、心の問題を解決するための理論や方法を考える学問が臨床心理学なのです。
学校にいる「スクールカウンセラー」の大半は、臨床心理学を学んだ「臨床心理士」で、心の問題に苦しむ生徒や家族などに、問題解決のための助言や支援を行う役割を担っています。
その心理状態や行動も科学的に説明できます
日曜の夕方に放送されているTVアニメ『サザエさん』のエンディング曲を聞いて、翌日の月曜日のことを考えて憂鬱(ゆううつ)な気分になったことはありませんか? また、お葬式に参列した時、自分の前の人のお焼香の仕方を無意識にまねした経験はありませんか? これらの心理状態や行動は、心理学の「行動理論」「学習理論」に当てはまります。人間の行動の多くは心理学的に分析・分類可能なのです。
心理学は、さまざまなジャンルの研究を融合させた学問なので、覚えなければならない理論や概念が数多くあります。しかし、学んでいくうちに自分自身の体験や行動に当てはまる部分も多く、非常に興味深い学問なのです。
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先生情報 / 大学情報
九州医療科学大学 臨床心理学部 臨床心理学科 教授 前田 直樹 先生
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