体を動かしながら楽しく英語力を養う「TPR」
グローバル社会で英語力は必須スキル
日本では学習指導要領が大幅に改訂され、2020年度より小学校外国語活動・外国語科が全面実施となりました。児童生徒一台のPCタブレットを用いながら、読み・書きに加え、聞く・話すといった英語でのコミュニケーション力の育成に力を入れる方向へと改革が進んでいます。日本人はライティング、リーディングと比較して、リスニング、スピーキングが苦手という人が多い傾向にあります。単語を暗記する、文法を学ぶこと、機械的に発話練習をすることが中心の学習方法では、リスニング力、スピーキング力はなかなか伸びません。そこで今注目されているのが、「TPR(Total Physical Response)」という外国語学習の指導法です。
体を動かしながら英語を覚える
TPRは学習者が、指導者が発する外国語を聴き、体を動かしながら外国語を学ぶ指導法で、1960年代にアメリカの心理学者 J. J. Asher が幼児の母語習得の観察を通して開発・提唱し、現在も世界の多くの外国語教育現場に取り入れられています。英語だけではなく、スペイン語、ドイツ語、日本語等、様々な外国語教育において活用されています。TPRの特長は指導者の外国語の指示を聴いて、学習者が指導者とともに動作を行うことで、母語を介さずに外国語を理解することです。日本でも、幼児、児童を対象に活用され、特に中高生を対象とした多くの実証研究を通して、4技能5領域への効果が検証されています。
「わかる」「楽しい」から能力アップ
TPRは学習者が指導者とともに例文を考えたりする活動も行うため、思考力も養われ、テキストだけの学習よりも身につく語彙(ごい)数が多いなどの結果が出ています。また「わかる・楽しい・みんなが参加できる」ことを重視した指導法だけに、子どもたちの英語学習の意識向上に効果があることも研究で明らかになっています。コミュニケーション能力を高めるTPRは、これからの子どもたちの英語力アップに大きく貢献する指導法なのです。
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先生情報 / 大学情報
帝塚山大学 教育学部 こども教育学科 教授 黒川 愛子 先生
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