褒めてくれるのはロボットでもいいし、多い方がいい

褒めてくれるのはロボットでもいいし、多い方がいい

ロボットに褒められると?

勉強やスポーツにおいて、人間は褒められると上達することが知られています。褒めてくれるのがロボットでも同じです。実験として、タイピング練習をするときに横にいるロボットが褒めてくれる場合と進行状況のみを伝える場合とを比べます。すると、褒められた方がタイピングの技術が上がりやすいことがわかりました。そして、褒めるロボットを2台に増やすとさらに上達が進むのです。

ロボットの人間性と社会性

これは謝る行為でも同じです。食べ物を運んできたロボットが配膳前に落としてしまった時、そのロボットだけで謝るよりも、別のロボットが駆けつけて一緒に謝罪した方が許す度合いが高いことがアンケート調査でわかっています。人間は動いているロボットに対して、なんらかの人間性や社会性を感じています。そのために、人間が人間に対して普段行っている、「褒める・謝る・感謝する」などの行為をロボットから受けた時も、まるで人間からされたように感じてしまうのです。人間は2台のロボットを単に2台のスピーカーが同じ音を流しているとはとらえていません。それぞれが独立した考えを持つ個体として見ているために、2台から褒められたり謝罪されたりすると、心に響くのです。

ロボットとともに生きる社会

将来、さまざまな場所でロボットが活躍するでしょう。しかし、ロボットの動きが素晴らしく、緻密に制御できたとしても、それだけでは人間とうまく関わることはできないでしょう。人間は人間同士でうまくコミュニケーションできるように進化し、社会を作り上げてきました。そのため、人間同士がどう関わり合っているのかを理解して、それをロボットに実装する必要があります。
さらに、ロボットに褒められたら伸びるように、人間がロボットに影響されて行動を変えることがあります。それは社会や文化の変化にも繋がるかもしれません。
人間とロボットがどう関わって、どうコミュニケーションしていくかを総合的に研究していくのが、ヒューマンロボットインタラクションと呼ばれる分野です。

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先生情報 / 大学情報

同志社大学 文化情報学部 文化情報学科 准教授 飯尾 尊優 先生

同志社大学 文化情報学部 文化情報学科 准教授 飯尾 尊優 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

ヒューマンロボットインタラクション

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学はゴールではありません。むしろ、大学に入ってからが始まりであり、さらにはこれからの人生はずっと何かの始まりです。きっかけは常に身の回りに転がっていて、いつ何に興味を持つかわかりません。
私も大学に入った頃はロボットを研究する気はありませんでしたが、「おもしろい」と思った瞬間に学びたくなりました。興味を持ったら、それを学びとって自分の身につけていってほしいです。そうやって新しいことにチャレンジしていくことが、豊かな人生の要件だと思っています。

先生への質問

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