インターネット時代における、新たな「地域メディア」の役割とは?
注目されなかった地域メディア
「メディア」と聞いてまず思い浮かべるのは、全国ネットのテレビやラジオ、全国紙の新聞など大規模なマスメディアでしょう。しかし、日本の全国各地には、それぞれの地域に根づいたテレビやラジオ、新聞などがあります。これらの地域メディアは、全国的なメディアに比べて圧倒的に小規模であり、メディア研究の分野でもあまり注目されてきませんでした。
独自の生き残り戦略
日本では明治時代以降、さまざまなメディアが現れては、時代とともに成長・衰退してきました。このメディアの変遷を生き物の生態系のようにとらえる考え方を「メディア・エコロジー」と言います。メディア・エコロジーの視点で見ると、地域メディアは、全国的なメディアではかえって難しい、独自の役割を地域で果たして生き残ってきました。
例えば、地域の新聞やテレビ・ラジオは、長年地元のニュースを取材し続けてきた経験を生かし、インターネットでも見つけるのが難しいような地域情報を発信しています。これは地域メディアならではの強みの1つです。また、地域メディアは、全国的なメディアに比べて各メディアが連携して、地域で起きている問題をニュースとして一時的に取り上げるだけでなく、問題の改善・解決まで主体的に関わっていくこともあります。
地域振興の主役になる?
インターネットが普及して以降、地域メディアは大きく変わってきました。これまで地元の人々だけに発信していた情報を地域外の人々にも発信できるようになったのです。これにより、地域メディアが観光に果たす役割も大きくなりました。インターネットテレビやラジオを通じて、ご当地アイドルが全国のファンと交流したり、地元の高齢者がパーソナリティーとして活躍することもできるようになりました。また、就職や進学で地域外に出て行った地元出身者を故郷に呼び戻したり、ほかの地域からの移住者を増やしたりするのにも、地域外への情報発信が一役買っています。地域メディアには今後、地域振興の担い手としての役割も期待されているのです。
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先生情報 / 大学情報
目白大学 メディア学部 メディア学科 教授 牛山 佳菜代 先生
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