やさしい本をたくさん読む! 日本語多読の魅力

辞書を使わず読む?
「日本語多読」とは、「やさしい本を楽しくたくさん読むこと」を大切にした外国人学習者向けの日本語学習法です。読む本は多読用に作られたもの、市販の本などさまざまですが、日本語多読の最大の特徴は知らない言葉があっても、まずは辞書を使わないことです。本の写真やイラストから意味が推測することが重視されているためです。例えば、「そばちょこ」といった知らない言葉も、写真を見れば理解できるようになっています。わからないところは飛ばしてもOK、難しかったら別の本を読むことも推奨されています。そのため、辞書に頼らずとも多くの日本語に触れることができます。すぐに効果が出るわけではありませんが、少しずつ力がついていく学び方で、効果の現れる様子は「じわじわ効いてくる漢方薬」に例えられることもあります。
興味に合わせて、自分のペースで読む
日本語多読の活動では、本の強制や理解度テストもしません。学習者は自分の興味に合わせて本を選び、自分のペースで読みます。物語や昔話、文化を紹介する読みものなど、ジャンルもさまざまです。コロナ禍をきっかけにオンラインでの多読活動も進み、Webで無料で読める読みものも増えてきました。
多読の現場は、「なまもの」とも言われます。一人一人の反応や考え方に合わせて学び方も変わるからです。
日本語多読を支える「支援者への支援」
日本語多読の活動には、学習者をサポートする「支援者」の存在が大切です。自分に合った本を選んだり、辞書を引きたいという気持ちとうまく付き合ったりするために、支援者の助けが必要です。この支援者たちをさらにサポートする「支援者への支援」も行われています。例えば、入門書やインターネットラジオで、効果的な方法や活動内容をわかりやすくまとめたりすることで、多くの人が安心して学べる環境づくりが進められているのです。今後は、動画コンテンツなどを活用して支援者の育成を進め、多くの学習者が楽しく日本語に触れられる場をさらに広げていくことが期待されています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

目白大学外国語学部 日本語・日本語教育学科 講師高橋 亘 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
日本語教育学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?