メディアや文化は地域活性化に貢献できるのか

メディアや文化は地域活性化に貢献できるのか

都会と地方のリンク

社会の活力は多様性から生まれます。日本では大都市への人口集中が進んでいますが、地方が元気でないと社会の活力が失われてしまいます。大切なのは地方と都会をうまくリンクさせることです。「地方は都会より遅れている」といった考えでは成り立ちません。地方が直面する課題はこの社会の最先端の課題であり、そこには最先端の取り組みが展開しているからです。いま地方について考えることは、この社会の未来について考えることでもあるのです。

兵庫県の中山間部でのプロジェクト

社会をつくりながら社会を考える。メディアをつくりながらメディアを学ぶ。そうしたプロジェクト型の教育・研究が、兵庫県の神河(かみかわ)町、養父(やぶ)市、豊岡市などの中山間地域で展開されています。学生たちは、現地でフィールドワークし、質的・量的な調査を行うことで、地域のリアルを知り、問題解決の道を探るのです。地域の魅力を発信する音楽・動画作品をつくる試みも行われています。制作過程でインタビュー映像を何度も見直しますが、それが他者の語りに向き合い、他者理解を深めることにつながります。また、音楽制作を通じて文化が社会に与える「力」について実践的に学ぶこともできます。

共に生きる喜び

人間や社会を動かす「力」について理論的に語ったのが、フランスの思想家ジョルジュ・バタイユでした。私たちは「役に立つ」「得をする」という有用性の視点を過剰に重視する社会に生きています。しかし、バタイユは芸術や祭り、遊びなど役に立たないからこそ「力」を発揮するものの価値を見直し、「共に生きる喜び」から社会・文化をとらえました。地域の人と都会の大学生が時間を共にし、地域の「たからもの」について一緒に考える。「たからもの」を音楽・動画で表現し、地域の「たからもの」を一緒に磨いていく。このように「共に生きる喜び」を経験するなかで、私たちはメディアや文化が地域活性化に貢献するということを体験的に学ぶことができるのです。

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神戸学院大学 現代社会学部 現代社会学科 教授 岡崎 宏樹 先生

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メッセージ

リアルな世界は、いまあなたが頭で考えているよりもずっと広くて深いということを、社会学は教えてくれます。見たくないものにも目を向け、自分とは考えの異なる人に接することで、私たちは他者へと開かれ、新しい自分にも出会うことができます。
社会学は、自分の窓を広げ、社会を理解するために非常に役立つ学問です。他者や社会との関わりについて深く研究し、複雑な世界をクリアにとらえる「社会学」を、ぜひ一緒に学びましょう。

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