サプライチェーンで見えてくる課題は、見える化で解決
円滑なサプライチェーンのため
近年は、日本企業が東南アジアなどに工場を移し、そこで現地の人々を雇用して製造するなどグローバルに展開しています。部品や材料の調達にはじまり、製造、配送、販売までの一連の流れの仕組みであるサプライチェーンを効率よく回すには、在庫管理や原価管理、品質管理、生産管理など、各工程での管理、つまり「サプライチェーンマネジメント」の手法が不可欠です。効率よく回すとは、具体的にどうすることなのでしょうか。
見える化の必要性
例えばある製造工場では、調達コストの高さが問題でした。この場合によくあるのが、複数の業者から価格の異なる部品を仕入れていることです。仕入れ業者を1社に絞った場合や2社、3社の場合のシミュレーションを行い、「こうすればコストを3割削減できる」など、解決策を具体的に検証します。また生産ラインの効率化を図りたい場合は、まず作業工程の見える化が必要です。単純作業や技術的に難しい作業、簡単な手順や複雑な手順など、言葉では表しにくい経験値をあえて言葉や図、そして数値で表現する「暗黙知の形式知化」を行います。言語化や可視化、数値化によって検討すべき課題の見極めができれば、解決もスムーズです。
人の見える化
そして、見えているようで見えていないのが、工場で働く人です。特に海外では、現地の従業員の風習や習慣を理解する必要があります。例えばインドでは、首を左に振ることがうなずきのジェスチャーです。また、イスラム圏の国は午前と午後とで1回ずつ、20分間のお祈りの時間があり、2時間の休憩時間が必要な国もあります。その場合は、一度止めた機械を再び動かす時間も考慮しないといけません。
日本企業が海外で工場を開設する場合は、工場で働く人たちとコミュニケーションを取り、風習や習慣を考慮した上でオペレーションを計画して遂行させることが大切です。技術的なハード面と、人というソフト面との両方がうまく機能して、初めて円滑なグローバル的サプライチェーンが可能になります。
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先生情報 / 大学情報
福岡工業大学 情報工学部 情報マネジメント学科 准教授 木村 富也 先生
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