テレビを見ながらスマホいじり これからのマーケティングとは
テレビCMの効果は変化している?
複数のメディアを同時に利用する行動を「メディア・マルチタスキング」といいます。メディア・マルチタスキングが広まると、ひとつのメディアに出てくる広告への注目度が下がると考えられます。例えばテレビを見ている最中にCMが流れ、そのときに視聴者がスマートフォンに意識を向けたら、テレビCMによるマーケティング効果が低下している可能性があります。一方で、テレビCMで見た商品をスマホで調べればすぐに通販で購入できるため、広告の即効性は高まっているかもしれません。メディア・マルチタスキングが広告に与える影響を解明しようと研究が行われています。
メディア・マルチタスキングの動機
まずは調査会社が集めたデータを分析し、メディア・マルチタスキングが発生するときの人々の動機が推測されました。大きく分けると動機は4つに分類できます。1つ目は複数の行動を同時に進め、早く終わらせようとする「効率性」です。2つ目は「コントロール」で、見るものを自分で決めたい、という気持ちに基づいて行動します。3つ目は「情報探索」です。テレビに出てきたキーワードを検索し、詳しく知ろうとします。4つ目は「習慣」です。1から3の動機に当てはまらず、特に理由なくテレビを見るときはいつもスマホを持っている、という人が該当します。
マーケティングをよりよくする
続いて、テレビCMを見てオンラインショップを利用した人の、動機の種類が分析されました。その結果、コントロールの動機でメディア・マルチタスキングをしている人は、その後の購買行動に結びついた割合が高くなりました。
なぜコントロールの動機でメディア・マルチタスキングをするとCMの効果が高まるかは、まだわかっていません。動機とマーケティングの関係をきちんと実証するために、さらなる研究が進められています。研究が進めば、メディア・マルチタスキングがさらに浸透する社会で企業はどうCMを作ればいいかなど、マーケティングに役立つ提案が可能になるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
大阪大学 経済学部 経済・経営学科 教授 ウィラワン ドニ ダハナ 先生
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