グローバル化やICTはどのように都市空間と人の活動を変えるのか
都市空間での現象を明らかに
都市地理学は、都市空間と人の活動がどのように相互に作用しているか、そこで起きている現象を明らかにする学問です。特に興味があるのは、グローバル化やICT(情報通信技術)の発展といった動向により、都市空間と人の活動がどのように変化しているのか、といった点です。データを統計的に分析して結果をGISを使って地図化したり、フィールドワークをして分析結果をより深く解釈することを目指しています。
フィールドワークとデータ解析
フィールドワークの例としては、原宿のアパレルショップへのインタビュー調査があります。この地域のショップでは、商品デザインが街を歩く人たちのファッションを参考に決められる場合が多いこと、中国の工場での生産でコストを抑えていることなど、グローバル化との関わりの一端が明らかになりました。
データ解析の例としては、今後も増えると考えられる位置情報を使った研究の一つに、交通系ICカードから収集されたビッグデータ解析があります。これにより、大勢の人の移動の傾向だけでなく、どの駅で路線を間違って改札を通ってしまう人が多いかなど、これまで調査しにくかった起こる頻度の少ない現象の実態も明らかになりました。
都市空間と人のライフスタイルの相互作用
近年、動画配信サービスの普及によってDVDレンタルショップが減っていますが、これはICTの普及と人のライフスタイルの変化が都市空間に影響を与えた例です。逆に都市空間の在り方が人のライフスタイルを変化させるケースもあります。例えば、ネットスーパーのサービスが充実している都心部では、郊外より食品をネットで購入する人が多いということが、1万人へのアンケート調査でわかりました。さらに、携帯電話の位置情報のビッグデータを解析し、都心と郊外のライフスタイルを調べた結果、都心に住む人のほうが退社時刻が遅く、外食が多いなどの違いが明らかになりました。こうした研究結果は、都市計画の立案やマーケティングに生かすこともできます。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 地理環境学科 准教授 矢部 直人 先生
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