スポーツとメディアの切り離せない関係
メディアの影響でルールも変わる
スポーツというものは、テレビや新聞などマスメディアの影響を受けて、変化し発展してきました。例えばバレーボールの得点ルールは、サーブ権を持っているチームがラリーに勝てば得点できるというサイドアウト制から、現在ではサーブ権にかかわらず得点できるラリーポイント制に変わりました。これはテレビ放映などの都合を考慮して、試合時間を短縮するための変更であり、メディアがスポーツを変化させた一例と言えます。
大衆はヒーローを求める
スポーツのような遊びは太古から存在していましたが、「スポーツ」という概念が成立したのは、違う地域の人でも同じように楽しめるように、ルールを制定しそれを共有するところから始まっています。そこには、必ずメディアが大きな役割を果たしているのです。
メディアが、偉大なプレイヤーを作り上げてしまうこともあります。大衆は、常にヒーローを求めるものです。あるスポーツの世界に卓越したプレイヤーがいない時代には、さほどの実績を挙げていない選手でも、マスコミがヒーローとして扱ってしまうことがあります。これは、大衆の見えない要求に応える形で起こる現象です。
「海外に勝つ」のが大事な日本
日本と海外のスポーツメディアを比較すると、面白い違いも見えてきます。日本にスポーツという概念が入ってきたのは明治以降、欧米の影響を受けてのことです。そのため日本のスポーツ界では、海外に追いつけ追い越せという意識が強く、外国人選手に勝った、全日本選抜チームが海外のナショナルチームに勝った、オリンピックでメダルを獲った、などということがメディアでも大きく報じられます。一方アメリカでは、オリンピックも話題にはなりますが、それよりも、野球のメジャーリーグ、NBA、アメリカンフットボールなど、国内の人気スポーツのほうがメディアに大きく取り上げられています。このようにメディアを見ていくと、よりスポーツの世界が見えてくることがあるのです。
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先生情報 / 大学情報
江戸川大学 メディアコミュニケーション学部 マス・コミュニケーション学科 教授 神田 洋 先生
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